第12話 成長
あの騒動が瞬く間に校内で広まり、またみずきさんの存在も知れ渡った。
そして、相談者がぼちぼち来るようになったそうで、それにみずきさんは対応していた。
様子を見ていると、初対面相手に怖がらず落ち着いていて、さらに成長したんだなと実感。
これで僕の役割は一段落。
「どうすればいいかな?」
花壇に咲く花達に言った。
返ってくる事はない。それでも聞いて欲しかった。
秋の風は冷たい。もう少しで冬が来る。
「よっ!」
「
ニコニコと陽気な聡が珍しく中庭にいた。
「大丈夫か?」
どうやら心配してくれてるの?
「元気出せよー!暗い顔すんなや!」
肩をバンバン叩かれた。痛いよ聡。
良いなー、聡の性格は羨ましい。
「お前、もう少し攻めたらどうだ?」
何だ急に。
「
「そりゃまぁ・・・」
方法があるならとっくにやるさ。
「おい、耳貸せ」
「ん?」
耳元でひそひそと語り出す聡。
それに対して僕は納得した。
上手くいくかな?不安です。
※
図書室前、あー大丈夫かなー。
おろおろしていると、ガラッと戸が開いた。
顔を出したのはもちろん。
「弦大君、どうしたの?」
屈託のない笑顔のみずきさん。
「あー、いやー」
何と言えば・・・。頭をポリポリかく。
「とりあえず、お話しよう♪」
そう言って貰えてありがたい。
僕とみずきさんはテーブルを挟んで向かい合っている。
みずきさん、可愛いなー。
髪サラサラなんだなー。
目が綺麗だなー。
どうすれば、こんな可愛い子が生まれるのかなー。
「弦大君ってば!」
「おわっ!」
まさか、また僕は。
「ぼーっとして、ダメだよ!」
「ごめん」
だって、ね・・・。
「身だしなみは念入りにしてるけど、恥ずかしいなー」
みずきさんは頬を赤くして何かぶつぶつ。
「弦大君ぼーっと私の事見るから、余計に気にしてる自分、恥ずかしい・・・」
「えっ?」
「あー聞かなかった事に!」
慌てている。うん、可愛い。
「あのーさっ」
「何かな?」
ふぅーと息を吐く。
「黙って聞いてて欲しいんだけどさ」
「うん」
みずきさん、そんな深刻な顔をしないで。
「友達がさ、気になる人がいて、その子との距離を縮めるにはどうしたら良いと思う?」
“友達が”は、大体嘘で自分の事を指すわけで。
バレたらバレたで反応はあるって聡が言っていた。
みずきさんの様子を見ると、真剣に考えていた。
腕を組み、うんうん考えている。
まさか、バレてない?
この子、僕より賢いんじゃなかった?
「うーん、相手の性格によっては攻め方は変わるからね」
おお・・・師匠。
「追いすぎて引かれたらダメだから、難しいなぁ・・・」
こんなに真剣に、申し訳ない。
気になる人って、目の前にいるあなたなのになー。
まだまだ、距離は縮まらないようです。
ちゃんちゃん。
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