第8話 大事なこと
妹の
祖父母はこの暑さには体力的に厳しいと判断して、ここ数年は2人で行くようになった。
「今年も平和で、お願い!」
「お願いしても神様仏様じゃないんだし」
「あー、でもでも!子供のお願いはなんとかするんじゃ!」
「あはは。さて、そろそろ帰ろう」
「はーい」
お供え物を風呂敷に包み、空のやかんを持って、この場を後にした。
父さん、母さん・・・
※
夏休みも後半。そんなある日。
「「「お邪魔しまーす!!!」」」
「よく来たねー!」
「さあさあ、上がりなさい上がりなさい!」
祖父母は嬉しそうだ。孫が3人増えたような気がしてるのかも。
「今スイカ持ってくるねぇ」
と、おばあちゃん。
「「「ありがとうございまーす!!!」」」
中に入れて縁側へ。
「あー、やっぱり見晴らし良いわね!」
「だよなー!」
「本当に素敵・・・!」
本当に見晴らしの良い縁側。
何にも隔てる壁すらない。
目の前には小さな畑と小さな花壇のみ。
上を見上げれば星空が輝いている。
「よし!花火花火~♪」
「使い切るぞー!」
相変わらず優愛と聡は大はしゃぎ。
「みずきさん、大丈夫?」
「
「なら良かった」
「うん!」
可愛い笑顔だなー。
「ん?」
首を傾げたみずきさん。
「あー、ごめん」
またぼーっとした。
手持ち花火で遊びつつ、スイカも食べて、気が付けば線香花火のみとなった。
「打ち上げ花火もそろそろね」
「時間帯はジャスト!」
ということで、縁側に横一列並んだ。
右から僕、みずきさん、優愛、聡、弦姫。
中に祖父母が見守ってくれている。
ひゅ~と音が聞こえた。
全員顔を前に向けて。
ドーン!・・・パラパラパラ・・・
「打ち上げキタァー!たーまやー!」
「「「「かーぎやー!!!!」」」」
今年の花火も綺麗だなー。
でも・・・。
「こんなに大きな打ち上げ花火を見たの、初めて」
隣にみずきさんがいる。
良い花火に見えてるのかも。
1時間が経過し、打ち上げ花火も終わった。
「じゃあ、しんみり線香花火やって帰ろうぜ」
「だねー」
みんなで1本ずつ線香花火を持つ。
「最後まで残ったら優勝で、最初に脱落したら何か奢ろうぜ!」
聡の訳の分からない提案に皆賛同し、線香花火を最後までやる選手権が開催された。
パチパチ、パチパチ・・・。
「線香花火は1番夏を感じるね」
と弦姫。
「大人って感じだな」
と聡。
「しみじみするわ」
と優愛。
「だね」
とみずきさん。
「うーん」
と僕。
「あっ脱落!俺かよー」
聡がビリになりました。何を奢ってくれるんだか。
「わっ!あーもー!」
次に優愛が脱落。
「あーだめー・・・落ちたぁ」
次に弦姫が脱落。
「私と弦大君が残ったね」
「だねー」
この火の玉になっている時こそ危ない。
手が震えて、ちょっとのことで落ちてしまうから。
集中していると、落ちるなとドキドキし過ぎて手に力が変に入ったからなのか、ぽとりと落ちた。
「僕は準優勝」
「えっ?私、優勝?」
みずきさんが残ったので優勝した。
自然と線香花火はしゅーっと消えた。
「みずき、優勝!」
「おめでとう!」
「ありがとう♪」
みずきさんが優勝なら誰も文句は言わない。
「おめでとう」
「ありがとう弦大君」
嬉しそうだ、良かった。
手持ち花火の片付けをして、皆玄関へ。
「「「お邪魔しました」」」
「また来てねー!」
「美味しいもんでもてなすからな!」
最後まで大歓迎の祖父母に感謝。
「じゃねー♪」
と優愛。
「じゃあなー!」
と聡。
「ではまたね♪ありがとうございました!」
ペコリと頭を下げてから出て行ったみずきさん。
「お兄ちゃん?」
「ん?」
どうした弦姫。
「みずきさんがお姉さんなら良いなー」
「は?」
「ふふふ♪」
いたずらっ子な顔で台所にいるおばあちゃんのお手伝いをしに弦姫はパタパタ行った。
変な事言うなしー。
居間に行くと、おじいちゃんがニヤニヤしていた。
「弦大」
「何?」
「良い嫁が出来て良かったの」
「いやいや」
おじいちゃんまで変だなー。
残っていた空のコップを台所に持ってくと。
「みずきさん、あの子は良いわねー」
「えー」
おばあちゃんまで変だよ!
うーん、恥ずかしいなー。
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