第1話 図書室の妖精
翌日、また図書室に行くと
「こんにちは」
「こんにちは」
うん、今日もいてくれて良かった。
「また本を探してるの?」
「ううん、羽咲さんが気になって来た」
「ふぇっ!?」
なんで驚くの?変な事言ったかな?
「えーっと、私が答えられる範囲内であればご質問をどうぞ」
「あー、うーん」
教室に来ない理由はまだプライベートゾーンな気がするから止めとこ。
よし無難に。
「好きな食べ物は?」
「塩辛とトマト」
塩辛は渋い。
「好きな本は?」
「ファンタジー系かな」
似合う、ぽいもん。
「苦手なことは?」
「人が多い所とホラーはダメ」
怖いのダメなんだ、僕もです。
「無難な質問ばかりだね」
あれ?羽咲さんから核心をついても良いみたいな空気出してるなー。
「うーん、プライベートゾーンはダメかと」
「別に良いよ。ただ、上から目線とか見られるのが嫌だなと」
どういうこと?
「じゃあ、とりあえず質問。教室に来ない理由は?」
「うん、それはね・・・」
緊張感が漂う。
「高校3年間分の勉強は終えてるの」
お?うーん?なんだそれ?
「意味が」
「あっだよね、ごめんね」
凄い頭の良い子なのかな?
「ダブりとかそうじゃなくて」
はいはい。
「子供の頃から勉強は好きで、それで先へ先へ進んだら勉強しなくても良くなって」
ほおほお。
「だから、この学校は個人を尊重する校風だから、親と学校が話し合いをした結果、授業を受けなくても良い代わりに学校に来るだけでオッケーになって」
「うーん」
「説明下手だね」
「事情があるの?」
「うっ・・・」
図星のようだ。
「これ以上は」
「話したくないなら良いよ」
「ごめんなさい」
「謝らないで。大丈夫」
気になるけど、忘れよう。
「また来ても良い?」
「もちろん!」
笑顔が素敵だな。
なんだか、可愛く見えてきた。
何があったか知らないけど、これ以上は止めよう。
とりあえず、図書室の妖精さんとでも思っとこ。
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