第2話 もったいない
図書室のあの子と出会い、話すようになって1週間が経過したある日。
「あっ!?なんじゃそれ!?」
「しーっ!声大きい」
「あはは、すまんすまん」
「んで、あの空席がその子なんだな?」
「うん、幽霊さんじゃなかったよ」
「なら安心だなー!」
僕も安心している。
「何の話?」
「おー!
「はぁ・・・」
黒髪でポニーテールが印象的で前髪をいつも気にしている。
目はキリッとしていて目力が半端ない。
性格がサバサバなので、頼られるリーダー的存在。
サバサバ女子、苦手なんだよなー。
「図書室の妖精の話」
「何それ?詳しく教えなさい」
怖い、怖いよー。
「嫌と言ったら?」
「絞める」
「ごめんなさい、白状します」
僕は弱い。でも言い振らすような2人ではないから、いっか。
※
『なるほどね』
『うん』
『なら放課後突撃しましょう!』
『えっ』
てなわけで、放課後。
僕は聡と優愛を図書室に案内した。
トラブルになったら、僕はもうあの子と話せなくなる。
困ったけど、どうしようもない。
「
「あっ!
わおっ!いきなり下の名前。
「まだ下の名前で呼ぶのは早かった?」
「ううん、大丈夫。良いよ」
「ありがとう。私の事も“みずき”って呼んでね」
こんなに距離が縮んでいたなんて、分からなかった。
「あのさ、えーっと、みずき、さん」
「はい?」
みずきさんは首を傾げる。小動物みたい。
「僕のお友達2人を連れてきまして」
「えっ」
「あー、嫌なら帰らすよ」
「ううん、会いたい!」
みずきさん、良いんですか?
煩いのとサバサバだよ?
「んじゃぁ・・・あの、どうぞ・・・ぐへっ!」
優愛が僕の事を邪魔だと言わんばかりに押されて倒れ痛い目に。
そんな僕に手を差し伸べることなく、笑いながら無視していく聡。
なんなんだこの2人。
「あなたがあの空席の子?」
「そう、です・・・」
「ごめんなさい、怖がらせて。いや、怖がらせてはいないんだけど」
「いえいえ」
あーあ、教えなきゃ良かったかな。
「私も2年B組」
「俺も!」
「そうなんだ!」
あれ?
「私は小園優愛」
「俺は
「私は羽咲みずきです!」
流れが良好?
「みずき、よろしくね♪」
「よろしくー羽咲さん!」
「こ、こちらこそ!小園さん弓河君!」
おー、打ち解け早ッ。
「みずき、優愛で良いよ!」
「あっ、えと、優愛、ちゃん」
「はい、よく言えました♪」
小園はみずきさんの頭を撫でた。
スキンシップがスムーズ。
こうして、みずきさんにお友達が2人増えましたとさ。
※
「さて、みずき!」
「はい!」
「もったいないわよ!」
「ん?」
首を傾げるみずきさん。
「事情はどうであれ、教室に来ないのはもったいない!」
あー、なるほどー。
「で、でも・・・」
「顔出すくらいなら良いでしょ?このままあの空席の噂が大きく膨らんで良いの?」
確かに。変な噂が増えるとめんどくさそう。
「それはー・・・だね」
悩むみずきさん。
「それに、うちのクラスはみずきを歓迎するから!誰も何も言わないし!」
「優愛ちゃん・・・」
小園の言葉に背中を押されて決心したのか、みずきさんの表情が引き締まった。
「先生と親と相談してみる」
「親はいいの!」
「へっ?」
「いちいち親の許可取るとか、もう高校生なんだから!」
「高校生、だから・・・なるほど・・・」
どうするのかな?
「とりあえず、顔合わせからどう?」
みずきさん、どうする?
「無理やりではないけど、あの空席の噂を消すチャンスじゃないかな?」
空席の噂を消すためには、出るしかないよね。
「みずきさん」
「弦大君?」
「頼りないけど、僕がいる」
頼られるのは嫌だけど、何故か言った。
すると、みるみる目に光がさし輝いてきた。
「私、行く!教室!」
この決意が明日どう出るのやら。
上手くいきますように。
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