えっちぃのはBAN対象です!
私とスラリアは、ときどき出てくる魔物を倒しながら、敵が出てくるわりにはのんびりと森を歩く。
ほとんどスラリアが苦労することなく倒してしまえていた、というのも一因だろう。
魔物を操るという『テイマー』としては、これでいいのかな?
でも、スキルのスライム強化すら使うこともなく、スラリアの活躍を見ているだけだと。
「ねえ、次に魔物が出てきたら、私に倒させてくれない?」
「ぷにゅう?」
私自身も、戦ってみたくなってしまうじゃないか。
NPCのリリアも、自分で戦うこともできると言っていたし。
私を守るためなのか、前を進んでいたスラリアの横に並ぶ。
「ぷにゅにゅっぷにゅ」
なにを伝えたいのだろうか……激励している?
それとも、心配している?
よくわからないけれど、スラリアが私の横腹にぷにゅんぷにゅんとぶつかってくる。
「大丈夫よ、あなたが戦っているの見てたから」
「ぷにゅ……」
野良スライムは、そこまで動きが速くないから、よく見て戦えばいいし。
頭に草を生やしたまん丸生首のヤツは、飛ばしてくる種に気をつければいいし。
オレンジ色のトカゲみたいなヤツは素早いだけみたいだから、一度捕まえてしまえば倒せそうだし。
隣で跳ねるスラリアを安心させるように撫でる、というか、ぷにぷにる。
「よし、どこからでもかかってこい!」
意気揚々と声を上げると、それを聞きつけたのか、茂みから魔物が出てきた。
なぜか、頭から草が生えているヤツだ。
そうだな、ナゼカクサと名付けよう。
黒い球体にのっぺりとした顔の模様が見えるナゼカクサは、根っこみたいな小さな足でちょこちょことこちらに向かってきた。
「プパァッ!」
「うわっ――とと……」
そして、いきなり私の顔に向けて、口のようなところから種を飛ばしてくる。
なにすんの、汚いわね。
私が頭を反らして避けなければ、おでこに直撃していただろう。
女の子の顔を狙ってくるなんて、容赦が無い。
「ププパァッ!」
私が怯んでいる隙に、ナゼカクサは種を二連射する。
かなりの速度を持った種が飛んでくるけれど、見えなくはない。
横に身体をスライドさせて、それらを難なく避けた――と、思ったら。
「きゃっ!?」
着ているワンピースの裾に一粒の種が引っかかったのか、その裾を大きく舞い上がらせた。
慌てて
いまの私って、下になにを穿いているのだろうか?
「このっ、えろ草!」
「ブベバァッ」
恥ずかしさにまかせて、私はナゼカクサに駆け寄って力いっぱい蹴り飛ばした。
口の中に含んでいたのだろうか、いくつかの種を吐き出しながら、ナゼカクサは後ろにあった樹に叩きつけられる。
そして、そのまま淡い光になって消えていった。
「まったく、もう……!」
「ぷにゅぷにゅー」
誰かに見られなかったかしら、と周囲に目を配る私に、スラリアが声をかけてくる。
お疲れ様、もしくは災難だったね、そんな風に言いたげだった。
「ふぅ……まあ、いいか。私、強いじゃん!」
「ぷにっ、ぷにっ!」
私と、その隣で跳ねているスラリアは、いっしょに喜びを分かち合う。
スラリアに関してはたぶんそうしてくれている、という予想だけど。
それにしても、私は一撃でナゼカクサを倒すことができるのか。
ちなみに、スラリアがナゼカクサを倒したときは二回ほど体当たりをしていた。
「ぷにゅぷにゅっ」
「えっ? 次は任せろって?」
「ぷにゅにゅっ」
「ふふっ、じゃあ、交互に戦うことにしようか?」
「にゅにゅにゅっ」
この後、出てくる魔物たちを代わりばんこに相手しながら、私とスラリアは突き進んだ。
途中でレベルが上がったとき、もらった10ポイントを幸運にぶち込んだ。
さっきみたいな恥ずかしいのは、こりごりだからね。
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【名前】リリア
【レベル】2
【ジョブ】テイマー
【使用武器】スライム:習熟度1
【ステータス】
物理攻撃:5 物理防御:20
魔力:15 敏捷:5 幸運:15
【スキル】スライム強化、なつき度強化
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ちなみに、ワンピースの下には黒いスパッツのようなものを穿いていた。
じゃあ、セーフだった……そう思っていいのかな?
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