第2期β前夜

今さっき、予備校の自習室での勉強を終えた。

結菜達と別れて、帰宅ログアウトすると、私の横には流生が寝転んでいた。

数秒遅れて流生が現実リアルに帰ってくる。

目を開けた流生は、起き上がると私に向かって両手を広げた。


「凛、おいで」


流生の胸に飛び込んだ私は、かなりだらしない顔をしてたと思う。

だって、1週間近く我慢してたんだもん。



初体験の翌日、私は生理が始まり1週間近くエッチはお預けとなった。

生理の終わった日から、私と流生は毎日のようにエッチしている。


普段は大人しい流生だが、エッチの時はかなり凄い。

エッチする度に、私の弱点を新たに見付ける。

前戯もどんどん上手になり、その時間も長くなっている。

流生がこんなにエッチな子だとは思わなかった。


しかもネットで調べた限りでは、流生が一晩に出来る回数は、男子中高生の平均値の約3倍だ。

何回か連続で出来る上、回復も平均よりかなり早い。

所謂絶倫というヤツらしい。


流生に色々と開発されて、私の身体も随分とエッチになってしまった。

エッチする時は、結構大きな声が出ちゃってると思う。

もうとっくにママ達にバレてるかもしれない




文化祭の1週間後には、また生理が始まってしまい、昨日までお預けだった。

流生が辛そうだったので、毎晩寝る前に手でしてあげた。


エッチ解禁の今日、ママと謙介さんは帰って来ない。

今夜の流生は、間違いなく激しくなる。




「風呂入ろうか?」

「うん!」


本当はこのまま抱いて欲しいけど、いっぱい汗かいちゃったからね。

1週間振のエッチなんだから、身体を綺礼にしてから、沢山可愛がって欲しい。




「ぁう、凛待って、」

「ダ〜メ、待たない」


身体を洗ってあげながら悪戯すると、流生が可愛い声を漏らした。


「じゃあ、凛も洗ってあげる」

「へっ?!ま、待って」


調子に乗った私は、流生に反撃されてしまった。


「どうしたの、凛?身体洗ってるだけだよ」

「やぁぁあん、嘘つきぃ、あん、また、弱いところ、ばっかりぃ」

「弱い所って、こことか?」

「〜〜〜っ♡」


何で私の弱い所探すの、こんなに上手なのよ?

身体が震え出し、頭が真っ白になる。


「あぁん♡、イク…」

「ダ〜メ、我慢。ベッドに行ってから」


さっきの仕返し?

イク寸前に流生が手を離した。

我慢なんて出来るわけない。

こんなところで止められたら、おかしくなる…


「いぢわるぅ、ぁむ、ぅちゅ、じゅる、れろれろ、れろ、ふぅん♡」


焦らされた私は、流生の唇いしゃぶりつき、舌を貪った。

こんな事したら、余計に我慢出来なくなるって分かってるのに。


「我慢できないぃぃ…、早くベッドに連れて行って…」


こんな恥ずかしいおねだりをしちゃうほど、身体が疼いてしまっている。



「んはぁ♡」


身体を拭いてもらう時も、バスタオルが敏感な場所に触れるだけで、甘い息が漏れてしまった。

着替えを用意していなかったので、バスタオルを巻いて流生と一緒に2階に上がった。


「俺の部屋で良い?」

「うん!」


私の部屋でエッチする事もあるが、流生の部屋でする事の方が多い。

流生の匂いがするベッドが大好きだからだ。

実物が目の前にいるのに、ベッドの匂いなんてって思われるかも知れないけど、そんな事はない。

流生の匂いがする枕に顔を埋めて後ろから抱かれると、あっという間に頭が真っ白になる。


お風呂で寸止めされた私は、部屋に入ると我慢出来ずに、流生をベッドに押し倒した。

身体に巻いたバスタオルを自分で取り、流生が腰に巻いていたタオルを強引に剥ぎ取る。

完全に私が襲った格好だ。


「…凛?!」

「黙ってて」



〜〜〜〜〜



お風呂と同じ結果になった。

流生に襲いかかってみたものの、あっさり主導権を奪われた。

流生の激しさは、予想の遥か上を行った。


また、流生の枕を涎塗れにしてしまった。

全部、流生の所為だ。

こんなにイカされたら、誰だってこうなるに決まってる。


横に寝転んだ流生が、グッタリした身体を抱きしめてくれる。

腕枕をしてもらい、半身を流生に被せるように私も抱きついた。


「凛、大丈夫?」

「大丈夫じゃない、気を失うかと思った」

「…ごめん」

「ふふふ、怒ってないよ、…凄かったぁ♡」


ああ、このまま寝ちゃいたいけど、聞いておきたい事があった。


「ねぇ流生、私達の考えって古いのかなぁ」

「……」


察しの良い流生の事だ、これだけで何の話か分かってくれるだろう。


「結菜達に何か言われた?」

「…うん。3人とも流生が好きなんだって。分かってはいたけどね」

「そうか、言ったのか」


そう言った後、流生は少し考え込んだ。


「古いとか新しいとかの問題じゃないだろ?親父達だってモノガミーだし、ゴエモンさんとアステリアさんだって、他に恋人いないみたいだし。色んな考え方や恋愛観があって良いと思うよ」

「流生は、結菜達の考え方をどう思う?」


私が聞くと、また流生が考え込んだ。


「昔どっかの大学の先生が、『制度』によって人間の心理が無意識レベルで操作されてるって言ってた。『結婚は異性同士が1:1でする』って制度によって、『恋愛異性同士が1:1でする』っていうのが、常識として刷り込まれているって言いたかったんだろうね。その頃にもLGBTとかポリアモリーはいたけど、『制度』に適合しない彼らは、マイノリティとして差別されたみたいだね。未婚で子供を産む女性も、少数派として偏見の対象になってたって聞いてる。日本では、結婚の『制度』自体はまだ残っているし、親父達のように実際に結婚する人達もいるけど、その数はかなり減っている。そうなると、『結婚するのが当たり前』っていう同調圧力もどんどん弱くなって、更に結婚する人が減っていく。親の影響も大きいんだろうけど、結菜達の恋愛観は結婚という『制度』に縛られて無いから、俺達と違うのは当たり前だ。同性間の恋愛にも生理的な嫌悪感はあっても、倫理的な忌避感は無いだろうし、複数人での恋愛も当たり前に思ってる」

「私と流生は『制度』に縛られているって事?」

「…そうなるかな。俺、凛と結婚するつもりだし、麻里さんとも約束してるし」

「〜〜〜っ♡」


思わず流生に思い切り抱きついてしまった。


「どうしたの?」

「いつもサラッとそういう事を言うんだから…、でも、そんなに結婚する人が減って、私達が結婚する頃、『制度』として残ってるのかな?殆どの国で廃止されてるし」

「世界で唯一、戸籍制度が残ってる国だよ。結婚制度を廃止するなら、先ずはそっちを廃止しなきゃならないから、まだまだ先の話だよ」

「話が逸れちゃったね、結菜達の事だった」

「…凛が嫌なら、結菜達の家庭教師は辞めるよ。TGOも、また2人だけでやろうか?」

「そ、それはダメ!それとこれとは別だから」

「…分けて考えられる事かなぁ?」


流生がボソリと零した。

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