お泊まり勉強会 後編

宿題から解放された陽葵達は、本当に楽しそうだった。

食事が終わると、流石にこれ以上流生を働かせられないと、私達4人で片付けをした。

流生にはその間にお風呂に入って貰おうと思ったんだけど、3人分の布団を2階に運んでくれた。


それでも流生には、一番最初にお風呂に入って貰った。

その後、私と陽葵、亜里沙と結菜の組み合わせで、2人ずつ入った。


お風呂上がりに私達がした事と言えば……


「リンコは自分のがあるじゃん」

「ヒマリもリンの着れるよね」

「リサポンだって、ホントはリンコの着れるよね」


子供のような、Tシャツの奪い合いだった。

流生のTシャツだって無限にある訳ではない。

流石に数が足りなくなってしまった。


「ちょっと3人とも、いつまでキャミで彷徨うろついてるのよ。流生だっているんだよ」

「リンコだって、同じ格好じゃん」

「私は、流生の彼女だから良いの!」

「もう、そんなに引っ張ったら、ルイちゃんのTシャツが伸びちゃうわよ。ヒマリちゃんとアリサちゃんが着れば良いわ」


陽葵と亜里沙が引かないと分かると、結菜があっさり譲った。


「「えっ?良いの?」」

「うん、Tシャツは昼間に着たから」


結菜が何を言ってるのか分からない。


「ルイちゃん、Yシャツ貸して」


呆れた顔でTシャツの奪い合いを見ていた流生だが、結菜に頼まれると部屋にYシャツを取りに行った。


流生が戻ってくると、結菜がドアを少しだけ開け、その隙間から手だけ出してYシャツを受け取る。


「有難うルイちゃん、ちょっとだけ待っててね」


結菜がキャミを脱いで、流生のYシャツを羽織った。

上から3つ目までボタンが開いている。

最後に制服のスカートを脱いだ。


「もう良いよ」


結菜が声をかけると、流生が部屋に入って来た。

自分のYシャツを着た結菜を見て、流生が完全にフリーズした。


胸の谷間や太腿が大変な事になっている。

ショーツもチラチラ見えている。


「うん、この方が彼シャツって感じがするし、エロいよね。こういうの憧れてたんだ」

「「「……」」」


僅かな沈黙の後、私達も弾かれたように結菜に続く。


「流生、私にもYシャツ貸して!」

「ルイ、私も!」

「わ、私も!」

「……」


黙ってYシャツを取りに行く流生を見て、私達は一体何をやっているんだろうと思わなくもない。


流生が戻って来ると、私達は嬉々として流生のYシャツを羽織った。

これで落ち着いたと思ったら、結菜がゴソゴソと何かはじめた。


「結菜っ!何してるの?!」

「寝る時、ブラしてると苦しいから」


シャツの下のブラを抜き取った。


「そんなの流生が出て行ってからにしなさいよ」

「何言ってるの?ルイちゃんもこの部屋で寝るんでしょ?」


結菜が首を傾げた。


「結菜さん、それはマズイですよ」

「そ、そうよ、流生の言う通りよ」

「でもルイちゃんが一人で寝たら、絶対誰かがベッドに潜り込むわよ」

「「「「!」」」」


それはあり得る。

馬鹿みたいにテンションが上がっている所為か、この3人は既に、流生への好意を隠す気もなくなっている。


「じゃあ、流生にもう1組布団を持ってきて貰わなきゃ」

「このお布団大きいから、3組で4人寝れるわよ」

「な、なんで私だけ仲間外れなのよ!」


結菜の言葉に、ちょっとキレ気味になってしまった。


「ルイちゃんには、リンちゃんのベッドで寝てもらおうと思ったんだけど…、リンちゃんは何を考えてたのかな〜」

「〜〜〜っ!」

「ユナっち、そんなにリンコを苛めちゃダメよ」

「そうそう、ルイも一緒に5人で寝れば良いのよ」


結局なし崩しで、5人で雑魚寝する羽目になった。

翌朝、どんな格好で目覚めたかは思い出したくない。


結菜がEカップの胸に流生の頭を抱きかかえていたとか(しかもノーブラで)。

亜里沙がDカップの胸を流生の背中に押し付けて抱きついてたとか(しかもノーブラで)。

流生が目覚めると、目の前で態とらしく陽葵が、おっぱいポロリをやってくれたとか。


今夜2人きりになったら、私も3人がやった事を全部やる事にした。

ちゃんと流生の記憶を上書きしなきゃならない。

私は心に決めて、朝の支度をした。



〜〜〜〜〜流生side



流石に眠れるよう状況じゃない。

3組のセミダブルの布団に5人が雑魚寝だ。


スペース的には十分足りるが、4人の格好がヤバい。

4人とも俺のYシャツとショーツしか身に付けていない。

結菜さんに煽られたと言うか、流された感じだ。


暗くして見え難くはなったが、今度は女の子特有の甘い香りに刺激される。

良い匂いと感じる相手とは相性が良いなんて、凛と話した事があった。

そんな事言ったら、4人とも相性抜群になってしまう。

みんな凄ぇ良い匂いがするんだから。


俺は昨日、童貞を卒業したばかりだ。

今の俺は、猿に一番近い生き物と言って過言ではない。

情けないが、暴走しないように凛に守って貰うしかない。

端に寄って、凛にブロックして貰おう。


そう思ったが、結菜さんと亜里沙さんに阻止された。

端による事を亜里沙さんに阻まれ、反対側を結菜さんに塞がれた。

一体何の競技だよ、と言いたくなる完璧なポジショニングだった。


こうなったら、4人が寝付くまで、ジッとしてるしかない。

諦めて大人しく寝ていたら、凛の寝息が聞こえてきた。

夕べ余り眠れなかっただろうし、無理もない。


後は3人が寝付くまで大人しく待つだけだ。

また1人、誰かが寝息を立て始めた。

ホッとしていると、背後でゴソゴソ動く気配があった。


俺は亜里沙さんに背を向けて寝ているので、動いているのは彼女だ。

何をしているのか分からないが、取り敢えず意識をそちら向けた。


(〜〜〜っ!)


背後の亜里沙さんに気を取られていたら、正面の結菜さんにTシャツを捲りあげられた。


(何、このコンビネーション?!)


脇腹やらお腹やらをペタペタと触られる。


(しぃ〜、リンちゃんとヒマリちゃんが起きちゃう)


声を上げそうになると、結菜さんが俺の頭を抱えて耳元で囁いた。


(勉強教えて貰ったお礼がしたいの)

(これ、お礼じゃなくて拷問ですよ)

(そう?じゃあ、ルイちゃんが可愛くて、苛めたくなったって言えば良い?)

(…止める気ないって事ですか、っ〜〜〜!)


結菜さんと小声で話していると、背中に柔らかい物が押し当てられた。

思わず声を上げそうになった。


布の感触じゃない。

Tシャツを捲られ露わになった背中に、直接あたっている。

膨らみだけでなく、先端のコリコリした感触まで伝わってくる。

さっきゴソゴソしてたのは、ボタンを外してたのか?


(ルイ、私もいるよ)

(亜里沙さんまで…)

(安心して。リンとルイの仲を壊す気はないから)

(……)

(さっきアリサちゃんとお風呂で話したの、私達2人ともルイちゃんが好きなの)

(…今日会ったばかりじゃないですか?)

(ユイナは違うよ。中学生の頃から、ルイの事好きだったんだって)

(……)

(いつもルイちゃんの事見てたんだよ。卒業した時は、もう会えなくなっちゃったんだって思って、凄く悲しかった)


結菜さんもシャツのボタンを外し始めた。

胸が露わになると、また頭を抱えられた。


(〜〜〜っ!)


結菜さんの胸に顔を埋める格好になった。

そのボリュームと柔らかさに、暴走しそうになる。

結菜さんは身体をずらしたり、俺の頭の位置を変えたりしている。


(んはぁ♡)


俺の口が、結菜さんの胸の先端に触れた。

押し殺した甘い吐息が漏れる。


(ルイちゃん、もっとして)


結菜さんは、更に強く俺の頭を抱え込んだ。

息が苦しくなり口を開けると、そこに先端の蕾が収まる。


(ん〜〜っ♡、ルイちゃん、あん♡、舐めたり吸ったりして良いんだよ)


声を我慢する為だろうか、結菜さんは俺の肩の辺りを噛んだ。

背中からは亜里沙さんが胸を擦り付けてくる。

先端が硬くなっているのが分かる。


(私は今日一緒にいただけで落ちちゃったよ、ルイは私達の事嫌い?)

(…そんな事はないですけど)

(リンちゃんと別れて欲しいとか思ってないから)

(……)

(リンが1番なのは当たり前、ちょいエロな悪戯はするけど、コソコソ隠れてルイをどうこうしようとか思ってないよ)

(……)

(ちょっと時間は掛かるだろうけど、リンちゃんに認めて貰おうと思ってるの)

(…そんな無茶な)

(何で無茶なの?今の時代、複数人での恋人関係なんて驚く事でもないでしょう)


確かに和暦があった頃とは、その辺の倫理観は大きく変化している。

ポリアモリーである事を公言しながら、何期も連続で当選している国会議員も1人や2人ではない。

オープンマリッジの政治家や著名人も少なくない。

逆に奥さんに内緒で愛人を作っていた事が発覚し、辞任に追い込まれた大物政治家もいる。


叩かれるのは、俺の母親やその政治家のように、配偶者や恋人に隠れてパートナーを作る連中だ。

、外野が口を出す問題じゃない、と言うのが現在の風潮だ。


当たり前の事だが、この辺の感覚は、育った環境に大きく影響を受ける。

親父や麻里さんは昔ながらのモノガミーだ。

俺や凛はそれが当たり前の事だと思っている。

だから俺は、自分が不貞の子と知った時、家を出て行こうと考えたのだ。

しかし、結菜さんと亜里沙さんは違うようだ。



(リンが認めてくれても、ルイに拒まれたら、どうにもならないけどね)

(……)

(今すぐ返事は無理だと思うけど、私とアリサちゃんを彼女にする事も考えて欲しいの)

(……)

(それなら私にも権利あるよね)


眠っていると思った陽葵さんが、いきなり話に割り込んできた。


(ヒマリちゃん、起きてたの?!)

(さっき目が覚めた)

(ヒマリまで?!)

(驚く事じゃないでしょ?あのリンコがあっという間にデレて、ユナっちが片想いを続けて、リサポンが1日で落ちた男の子だよ。他に好きになる女の子が現れないと思う方が不自然でしょ)

(…確かにそうね。ヒマリちゃんの言う通りだわ)

(寧ろ4人で固めて、ルイっちに他の女の子を近付けないようにした方が方がリンコの為よ)

(うん、ヒマリの意見に賛成。私達4人なら仲良くやって行ける)


俺を置いてきぼりに3人が話を進めて行く。


「う〜ん、…まだ、起きてるの?」


いきなり、凛から声がかかった。

結菜達3人が、身体を強張らせる。


「ごめんリンちゃん、起こしちゃった?寝付けなくて、ちょっとお話してたの…」

「そうなの?早く寝なよ…」


凛はまた直ぐに眠ってしまった。


(私達も寝よう)

(そうだね)

(ルイちゃん、今の話考えておいてね)


そこで話しは終わった。

亜里沙さんと結菜さんには、その後何度もエロい悪戯をされた。

もしかしたら、亜里沙さんと陽葵さんは、何度か入れ替わっていたかも知れない。

いや、間違いなく入れ替わっていた。


童貞卒業の翌日に、とんでもない事になった。

俺は現実逃避するように、眠りについた。

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