夏休みの終わりに
ママと謙介さんの公認を貰った私達は、残りの夏休みを四六時中、イチャイチャらぶらぶ過ごした。
って訳でもない。
私はAクラスに上がれれば良いと思っていたけど、流生はそうじゃなかった。
「凛なら、学年トップになれるよ」
そう言って、お勉強タイムは一切の妥協なし。
基礎が大事と言って、中学校の復習をみっちりやらされた。
嫌になって投げ出したくなる一歩手前で、流生が甘やかしてくれる。
膝の上で抱いてくれたり、頭を撫でながらチューしてくれたり。
「も〜やだぁ」って思ってても、「もうひと頑張りしよう」ってなっちゃうんだよね。
本当に流生は、飴と鞭の使い分けが上手い。
お勉強タイムが終われば、手を繋いでゲームにログインする。
現在はハデスを攻略できず、停滞している。
倒す為にはレベルアップが必要だが、第2期でリセットされちゃうと思うと、レベリングにも力が入らない。
気分転換にイチャつく事も多い。
そんな時流生は、大抵の我儘を聞いてくれる。
抱っこもチューも捨てがたいが、ゲームの中でしか出来ない馬の2人乗り(
甘々一辺倒かと思えば、プレイヤーハウスでのお勉強タイムもある。
「環境が変わると気分も変わって捗るだろ」
一気に甘いムードが吹き飛び、スイッチが切り替わる。
しっかり勉強すれば、また飴の時間だ。
私の枕は、もう何日も流生のベッドに置きっ放しだ。
エッチな事も少しずつ増え、私と流生の仲は順調に進展していった。
ママ達の帰りが遅い日には、お風呂も一緒に入るようになった。
そして今日は、夏休み最終日。
ママと謙介さんは帰って来ない。
「最初は、私の入ったお湯に流生が入るのも恥ずかしかったのにね」
私は流生に背中を預けて、お湯に浸かっていた。
硬くなった流生のオチンチンが、私のお尻に当たっている。
「流生のエッチ」
「仕方ないだろ、これで勃たない中学生は不能かゲイだ」
ちょっと不貞腐れたように流生が言った。
頼りになっても、こういう所は年下の可愛さがある。
「触っても良いよ」
「…ど、どこを?」
「好きな所。流生が触りたい所、どこ触っても良いよ」
「……」
流生は黙り込んでしまった。
私は流生の手を掴んで、手ブラをするように自分の胸に押し当てた。
「り、凛?!」
「私の胸じゃ小さくて物足りない?」
「そ、そうじゃなくて、我慢できなくなる」
一緒に寝ている時、流生が必死に我慢しているのは知っていた。
でも、それは私も同じだ。
花火大会で気持ちを確かめ合ってから2週間ちょっと。
よく我慢した方だと思う。
『あら、凛はそんなに清いお付き合いを続けられる自信があるの?』
ママの言っていた意味が分かった。
私達の年頃で毎晩好きな異性と一緒に寝ていて、お互いが我慢し続けるなんて無理な話だ。
ラノベや漫画で、同棲状態にありながら、半年も1年も『清いお付き合い』を続けられる主人公達を尊敬する。
「私は我慢するの止める」
「……」
「流生は我慢続けられる?」
「む、無理だ。でも今日は、その、コ、コン、コンドームもない」
そう言うと思っていた。
「私、元々生理が重い方で、ママに言われてレディスクリニックにいったの。診察受けたら、保険適用でピルが処方されたよ…」
「…あの人は本当に何考えてるんだ?」
今日の外泊も、お膳立てしたつもりなのかな?
完全に流生が掌の上で踊らされている。
覚悟を決めたのか、我慢出来なくなったのか、流生は私の首に顔を埋めると、胸に当てていた手を動かし始めた。
恐る恐ると言った感じで、ゆっくりと私の胸を揉みしだく。
「ぅん、あん、…流生の好きにして良いんだよ」
「上手く出来る自信なんてないぞ」
「そこまで期待してない。優しくしてくれれば、十分だよ」
ちゅっ
顔だけ後ろを向いて、軽く唇に吸い付いた。
「ベッドに連れてって」
「…ゲームの中じゃないんだ。お姫様抱っこで2階までなんて無理だよ」
「それもそうね。髪乾かしてから行くから、先に部屋で待ってて」
正直、私も限界だった。
花火大会の夜の何倍も、緊張している。
多分、流生も同じだろう。
「先に出て待ってる」
流生が脱衣所を出るのを待って、私もお風呂を上がった。
本当は怖くて、脚が震えている。
先にお風呂を上がって貰ったのは、流生に知られたくなかったからだ。
「無理しなくて良いよ」
優しい流生は、きっとそう言って我慢してしまう。
何とか髪を乾かし、自室に辿り着いた。
チェストから取り出したのは、通販で買った下着とネグリジェ。
ママと謙介さんに流生との仲が認められた時から、こうなる時は遠くないと思い、買ったものだ。
いくら通販とは言え、買うのには勇気が要った。
夜中一人じゃなきゃ、とてもポチれない。
流生が寝た後、こっそりポチッとやった。
ネグリジェはスケスケで下着を着けなければ、大事な所が全て見えてしまう。
本来はそういう用途で着る物なのだろう。
それでも折角買った大人っぽい下着も、流生に見て欲しい。
下着はシルクの上下セット。
色は悩んだけど白にした。
黒や紫も考えたけど、背伸びし過ぎだと思った。
ブラはチューブトップでショーツは所謂紐パン。
ここまで布面積の小さい下着は初めてだ。
その僅かな布も、色々と透けている。
「勝負下着って何?バカみたい」そんな事を思っていた時期の自分を殴りたい。
大好きな男の子に初めてをあげるんだから、少しでも綺麗な姿を覚えていて貰いたい。
そんなの当たり前の事だった。
勝負下着の上からスケスケのネグリジェを被り、準備は万端だ。
最後に姿見でチェックして、流生の部屋に向かった。
気合が入り過ぎてるかも。
流生に引かれませんように。
自分でも何が不安なのか分からなくなりながら、流生の部屋のドアを開けた。
〜〜〜〜〜
「今夜、ママ達帰って来ないって」
夕食の準備をしていたら、凛がキッチンに入ってきた。
「明日から新学期なのに?親父は前からだけど、麻里さんてこんなに放任だったの?」
「2人の時は全然違った。流生と付き合ってからかな?ご飯の世話は要らないし、流生がいれば勉強サボらないし、放任って言うより流生に任せてる感じ」
凛のメシの支度や勉強を見るのは苦にならないけど、あんまり信用されてもなぁ。
「今日は安心して一緒にお風呂入れるね」
「……」
「流生は一緒に入るの嫌?」
「嫌どころか一緒に入りたいよ。だけど…」
「フフフ、お風呂の準備してくるね」
一緒に風呂に入ると、その後が辛いんだよな。
寝る時も一緒だし、抜く訳にもいかない。
ところが、今夜は違った。
誘ってると言うか、完全にOKが出た。
まあ時間の問題とは思っていたが、突然過ぎてビックリした。
今日で夏休みは終わりだし、そうでもないのか。
先に風呂を上がったが、部屋に一人でいても何も手に付かない。
スマホでググり、初体験の女の子を優しくリードする方法などを調べ出す始末だ。
上手く出来る自信が全くない。
不安に駆られながら凛を待っていると、いきなり部屋のドアが開いた。
ノックも無しに凛がドアを開けるなんて初めてだった。
凛も俺と同じくらいテンパっているのか?
「あ、ごめん。いきなり開けちゃった」
「気にしないで。凛なら、何時でも大歓迎だよ」
「そういう事ばっかり言うから、我慢出来なくなるんだよ」
恥ずかしいそうに俯く凛の姿に、眼が釘付けになった。
何時もと違う透けたネグリジェ。
透けて見える下着も、凛のエロ可愛いさを何倍にも
「凛、メチャクチャ可愛い」
「…ちょっと恥ずかしい」
「ごめんな、俺こんな格好で…」
俺は何時もの甚平で、凛を迎えてしまった。
「ううん。私、流生のその格好、可愛くて大好きだから」
「……」
「……」
2人ともどうして良いか分からず、沈黙してしまった。
俺がリードしなきゃ。
そう思えば思う程、何も出来なくなる。
そんな俺を凛の言葉が救ってくれた。
「流生は何時も自分に厳し過ぎだよ」
「…そんな事はないよ」
「本当に?流生は自分に出来ない事が有るのが、悪い事だと思ってない?」
「……」
「初めてなんだから、上手く出来なくても当たり前だよ。初めてチューして貰った時、上手かどうかなんて気にならなかったよ。流生が私を好きになってくれた事が、嬉しいだけだった。他の事なんて何も考えられなかった」
「…凛」
「今も同じ気持ちだよ。いつもの頼りになる流生じゃなくて良いの。ありのままの流生が欲しい」
急に肩の力が抜けた。
凛に近付き唇を重ねると、そのまま一気に抱き上げた。
「きゃっ、お姫様抱っこ…」
「
「えへへ、十分だよ。お姫様抱っこでベッドに運んで貰って初体験なんて、一生の自慢だよ」
凛をベッドに横たえると、再び唇を重ねた。
忘れられない夜が始まった。
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