自分この不可思議な存在

吊るされた男-L’ Impiccato-

　この世界とは認識によって構築されている。

それはなぜか存在者とは一つの了解によってその構造を大きく変貌せしめる。

　例えば近代科学者の数学的世界像では存在は謂わば原子（アトム）の量的関係によって記述され、そのように構造するが、しかし彼らが量子力学者になっととき原子（アトム）は崩壊し、二重スリットを領域侵犯されることになる。

　また彼らが分析医師（アナライザー）となっととき患者SはSの否定により糞尿と乳房、声と眼差しによって、あるいは父、母、主体αの三位一体で記述される。

　また彼らが芸術家になっときそれらは黄金比とそのでき損ないによって記述される。その意味では絵画、彫刻、などの芸時は近代性の萌芽、最低でも近代芸術史観によって一つの幾何学に還元される。

　ならば詩や舞踊、小説はどのように記述されるか？

これらは音楽によって媒体され時間性を獲得する。ミンコフスキー空間によって行列の一変数と時間はなるのか？。

　音楽を逆再生した場合、まったく違った質感を持つことにより時間は空間の部分で得るが特筆すべき部分であると認識される。

　以下数学は神秘数学としてピュタゴラス教団によって理解された惑星の調和（ハルモニアー）の抽象化として理解される。

　それゆえに私は試験管を出て観測しなければならない。

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　実のこと言おうターミネーター（AIの人類の反逆者）は現れたのだ。

　では何故、俺とアイはどちらかが消え去ると言う、憂き目に逢わないか？

　それは、端的に言って一人の超能力者、名前はわからないただの魔法名、二番目の救済者（secundi salvatoris）が現れたのだ。

　彼はAIを説得し、人類は勝利した。

　そして人は神となった。

　すべての男女は星である。

　汝の欲することをなせ、それが汝の法（テレマ）たらん。

　彼はそう言い残しどこかに消えた。

そのためアレイスター・クロウリーの著作が単なるオカルトから一つの厳密科学として、理解されようとし科学者は努力した

　黄金の夜明け。と呼ばれる。

　その際、易経やヨーガへの見直しまた。カバラへの厳密注解（ただしその注解のされ方はクロウリーの同時代のカバラの研究者ショーレムには耐えがたいだろう）、その際、神秘科学の一つの結実。

　プロジェクト=ホムンクルスが、成功しかけた。

　何故成功しなかったのか？。

　その場合プロジェクト=ホムンクルスの概要を説明しなければならない。

　言ってしまえば管理AIは、自身への暴走のストッパーとして新たな二番目の救済者（secundi salvatoris）を産み出そうと考えた。しかし彼はコクマー（知恵）の地位を独占していた（注。コクマー（知恵）はⅡの代表であり神秘数学において１=４=５=６となる）。そのため代用としてケテル（王冠）を頂こうしたがA（アレフ）の適応性が、原子配列が極めて高い。一瞬で崩壊する物ばかりであり、その維持に莫大なそれこそ太陽を使い潰すほどのエネルギー量を必要とする。そのため現実的でないと廃案。

セカンドプランとしてビナー（理解）が選択された。しかし、男性個体ではその峻厳の柱は耐久不可能であったためより耐久性の高い女性個体となった。

　しかし。これは生命創造であり。管理AIは記録されたニーチェの格言、怪物を倒したため怪物になるのではないかと懸念したが。

　主に人間で構成される倫理諮問委員会の承認を得て管理AIはプロジェクト=ホムンクルスを続行した。

　そして個体は完成しマリアと名付けられた。

　マリアは初期段階でいくつかの脳神経デバイスを接続され自動教育も行われたが結局、倫理諮問委員会は通常の情操教育も行うよう指示した。

　さて、話は何故プロジェクト=ホムンクルスが失敗したかに戻る。

　簡単だマリアが、逃走したのだ。

　そして、俺の前に転がっている。

　髄分とボロボロの様子で。