第5話

《そのユリに似ている子が、話しかけてきた。「もうすぐ、終わりなんだけど、私と飲まない?」いきなりで、俺はびっくりしたけど、別にこの後寝るだけだったし、二人で飲みに行く事に決まった。「お待たせ。」「よく、ナンパするの。」「嫌だ、初めてよ、もろタイプ。これは、運命かなって思ったの。」「いくつ?」「26よ。」「俺は24。」「え〜、年下?」「そっちこそ、年上?」二人で笑いあった。「ちょっと歩くけどいい?」俺はうなずき二人であおば通のケヤキ並木が続くメインストリートを話しながら国分町まで歩いた。国分町までは、ちょっと歩いたから、さっきのビールはすっかり飛んでしまった。「私のよく行くお店でいい?」「あぁ、とこでも任せるよ。」折衷Bar シヅクトウヤに入って行った。カウンターに座り夏海は、モスコミュールを頼んだ。俺は、ビールとおつまみに生牡蠣を2つ頼んだ。ここまで来る間、夏海は、東京産まれだが、両親の転勤で、色んな所に2〜3年で引っ越ししていたそうだ。大学から仙台にお母さんと住んでそれから両親は離婚した。仙台に住んでもう、10年ぐらいになる。お母さんは、身体が弱くて、自分が働いて面倒を見ているそうだ、だから、大学も1年で中退したそうだ。俺の話は、東京の大学に通ってて、友達の犬が仙台のブリーダーから買ったんだけど、3回も死んでしまっていて、その、ブリーダーが原因かを調べてる事を伝えた。夏海は、「何か協力出来たらするわ。」「ありがとう。」俺は、明日秋湯温泉の近くのペットショップまで行く事を言ったら。 「明日なら、車で乗せてってあげる。」「本当に?助かるよ!車がないとちょっと不便な所なんだ。」「せんだいなんて、ほとんどそうよ、車がないと、どこにも行きづらいよ。田舎なんだから〜。」笑いながら、次のカクテルを注文する為にメニューを開いた。俺も慌てて、ビールを一気に飲み干した。朝ホテルで目が冷めたら、もう夏海はいなかった。昨日は、あっという間に二人でベットで眠ってしまった…何も無いのは言うまでもない。ふいに、ラインの電話が鳴った。もう、車で向かってると夏海からだった。俺は、急いで服を着てホテルのロータリーへ行った。もうすぐ、つくとの電話だったから。夏海の車は、マツダのキャロルの黒だった。最近はほとんど見かけない。「かわいい車だ!」俺が言うと「譲ってもらったの、ローンをそのまま引き継いで支払ってくれたら良いとのことで、やっと、車を新しくしたの!」》

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