第4話

《東京7:56発はやぶさ103号は丁度9:30に仙台駅に到着!久しぶりの仙台は、今や1時間半で着いてしまう。やっぱり、東京より随分風が冷たい、それでも桜はちらほら咲き始めている。俺の好奇心だけで、動いているだけだが、何かじっとしていられない、衝動が抑えられない何か感が働いていた。まだ、ペットショップが始まるまで時間があったので、仙台駅からアーケードで繋がっている、ハピナ名掛丁を通って、クリスロード、マーブルロードおおまち商店街まで久しぶりに歩いた。途中の三瀧山不動院(仙台四郎のお寺)にお参りした。小さい時七夕でよく歩いたのを思いだす。ペットショップには、手のひらに乗りそうな、チワワやミニチュアプードル、ミニチュアダックスフンド達が、ガラスケースに寄ってきたり、寝たまま、こっちをちらっと見たりしてる。子犬達には、多額な値段が付けられていた。ブリーダーと、ペットショップを経営しているのだから、相当儲かっているのだろう。ペットの専門学校の生徒だと思うが、体験でお世話をしているようだ。店の店員を呼んで、チワワのブリーダーさんを教えて欲しいと聞いてみた。運良く、その店員はブリーダーで販売店もやっている場所を教えてくれた。まー、もちろん同業者の中の仲間で、ブリーダーとはいっているが、繁殖の現場は実際には、教えられないだろう所にあると思うが。前に、悪徳ブリーダーのニュースを見たことがある。子犬だけを、何度も産まされ多頭飼いで、狭いゲージで一生終わるパピーミルがいるという事。産めなくなれば、用無しで、死体がわからないように、山に埋められたり、焼かれたりしているのは、悪徳ブリーダーの暗黙の了解になっていると。出産も、小型犬なら4匹のうち2匹も奇形の子犬が産まれ、それは、犬同士近親で産ませてしまうからだ。それを平気で埋めたりも、あると何かで読んだ。それは、自然で産まれても、親はもし死産で産まれれば、自分で食べて始末するのと一緒だ。他の動物がその血の匂いや、死体の匂いに近づいて来ないようにだ。そんな事を思い出しながら、そのプリーダーの販売店がある秋湯温泉に行ってみることにした。温泉というぐらいだから、辺鄙な所かも…俺は、仙台駅から仙山線愛子駅行に乗った。愛子駅からは、タクシーで15分位だったが、帰りのタクシーが来るのか心配するほど、山奥に見えた。ペットショップの外には、大きい秋田犬がサークルに入ってグルグル回っていた。「こんにちは〜」俺は、鼻がつまみたくなるのを我慢した。綺麗にはしてあるが、相当古いお店で、ガラスケースではなく、ゲージから、犬たちが顔や手を出し、キャンキャンと、ずっと騒いでいる。「何でしょう?」見た目では70歳ぐらいの老人が、目も合わせず奥から答えてきた。若い俺は、ほとんど相手にされていないと気づいたが、ユリの名字中村を使ってみた。「中村さんの友達なんですけど、チワワを譲って欲しいと思いまして。」「えっ、ユリちゃんの?」さすが何度もチワワを譲ってもらってるだけあるな。「そうなんです。東京から、来ました。」「わざわざ?ここには譲れるチワワは、ないよ、まだ、母親と一緒だがら。」「明日なら大丈夫でしょうか?」老人は仙台なまりが少し出た。「ちょっと待ってな、聞いてみるっがら。」「ありがとうございます。」俺は、白い毛がモジャモジャのプードルか、ビジョンフリーゼかわからない犬の頭をなでた。凄い勢いでジャンプして、喜んでいた。「明日なら大丈夫だ。3匹いるから、全部みてみるが?」「はい」お願いしてから、タクシーを呼ぼうと外に出たら、駅まで乗せていくかと言われたので、お願いした。白い軽トラの助手席は、ペットシートが敷いてあり、犬の糞の匂いが少ししたが、タクシーを、待たないで済んだから、ありがたい。愛子駅から仙台まで今度はローカル線で帰った、山々の、緑の中に桜だろうかピンク色が目立って見えた。電車のアナウンスで、俺の乗った電車は鹿の衝突で20分遅れだった。やっぱり、田舎だな〜と思いながら仙台駅についた時は、もう、17時になりそうだった。ホテルも何も取ってなかったので、携帯で検索したら、駅隣接のメトロポリタンホテルがあった。一階のフロントでキーを受け取り、部屋に入り直ぐシャワーを浴びた。あの、ペットショップの匂いが染みついていそうで、念入りにシャンプーをした。お腹が空いていたから、シャワーを浴び着替えて、コインランドリーを回してから、泊まりになると思って着替えを持ってきて良かった思った。2階から向かいのEBeanSに入って、イタトマがあった。食欲はなかったが、入ってミートソーススパゲティとコーラを注文した。親戚の家に行けばいいのかもと思ったが。家には、友達の家に泊まると言ってきたから、それは出来なかった。まー、カードで支払いをするから、後でバレるとは思うけど、過ぎたことはあまり、言わないから。駅にお洒落なバーがあったな…少し飲みたくなって、バーを覗いてみた。意外と賑わっていて、若い子も多かった。カウンターで「ビール」というと。目を見開いて、見つめて来るバーの女の子は、どことなくユリに似ていた。》

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