256 竜撃の牙(ドラゴンボーン)
「まずはぁ……死者に囲まれて死ぬといいわ!
ニヤニヤと笑うモーガンの宣言と共に、彼女が俺に向かって伸ばした左手を起点に魔力が集中していく……その魔力は闇を印象付ける黒色へと変化していき渦を巻く。
渦が実態を伴って苦しみと悲哀を湛えた表情を浮かべる顔が幾つも顕現し、俺に向かって放たれた。
その顔はまるで俺を捕食対象とでも思っているのか、それとも命の痕跡を感知したのかまるで弾丸のように回転しながら叫び声を挙げつつ迫ってくる。
「趣味悪いなぁ! ちくしょう……ッ!」
……この世界では死後の世界、神界の存在を信じられており、その世界に滞留する普通の霊魂は何をするでもなく世界をただ彷徨っていると伝えられている。
魂には
神界……特に霊魂がそのまま漂うような前世の地獄に近い場所に存在する魂は
この魔法はそういう霊魂を強制的に呼び出し、対象へと打ち出すかなり悪趣味な魔法の一つで、霊魂は命じられるまま対象を食い破る……そして罪を重ねたことでさらに
「
俺の言葉と同時に漆黒に鈍く光る魔力の腕が俺の背中に出現し体の前で両手をクロスさせて飛来した
言葉にならないような悲鳴をあげながら
攻撃を消滅させた俺をみてモーガンの表情が明らかに歪む……それは怒りというよりも呆れのような物を含んだ物だが。
「……随分無茶苦茶ねえ……これだから人じゃない存在は厄介なのよ」
「アンタだってあんまり変わらないだろ? 第一その姿……真実ではないんだろ?」
俺の言葉にモーガンの顔に恐ろしく歪んだ笑顔……
<<限りなく
頭の中に響くアルピナの声はまるで懐かしい物を見るかのような優しい物だ。
おそらく俺のまだ認識していない彼女の知識の中にある友人が知人か……その人物に対しての懐かしい思い出なのだろう、ほんの少しだけノスタルジーな気分にさせられる。
「クハハハッ! 女性に歳を尋ねるのはよろしくなくてよ!
モーガンと俺の間に直線的な勢いで、骸骨の腕がその進路上にあるものを貫くかのように天に向かって突き出していく……
それと同時にモーガンの放った
「思っているよりも俺が知らねえ魔法ばっか使いやがるなっ!」
俺が右手を突き出すと無詠唱で生成された一〇数本の
絨毯爆撃のように彼女の周りの空間を炎に包み込んで爆発四散していくが、その燃え盛る炎を突き破って無傷のモーガンが骨を組み合わせ作られた
なんだあの
だがモーガンの動きは魔法使いにあるまじき凄まじく鋭く、次の瞬間俺は腹部に何か熱いものが食い込むような感覚を覚え、ゆっくりとその方向を見ると、
貫かれた腹部から何かがずるり、と抜け出すような感覚……痛みと熱が俺の体から魔力を奪い取っていくのを感じる……耐えきれずに口元から血を吐き出して膝をついた俺を見下ろし、モーガンが歪んだ笑みのまま高笑いを始めた。
「ケハハッ! 油断したわね? この武器は神話の時代に作られた
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二〇二三年五月五日より新作を投稿いたしました。
タイトル:
わたくし、前世では世界を救った♂勇者様なのですが? 〜魔王を倒し世界を救った最強勇者様だったこの俺が二度目の転生で、超絶美少女貴族に生まれ変わってしまった。一体これからどうなる私のTS貴族令嬢人生!?
URL:
https://kakuyomu.jp/works/16817330656796949844
ハイファンタジージャンルとなります〜ぜひこちらもよろしくお願いします!
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