244 破滅級魔法(カタストロフ)
「……アルピナ……お前何してくれてんだよ……」
仮眠から覚めた俺は、周りに誰もいないことを確認してから思わず両手で頭を抱えて悪態をつく……彼女の記憶から想定するに、
そんな魔法、魔法大学や過去の文献にすら出ていなかったぞ……完全にヤバすぎて歴史の闇に葬られた
俺が使う
純粋に魔力をぶつけるだけの
<<そうねえ……あれは確かに強いけど、一国を崩壊させるようなものではなかったわね。
<<……まあ少しだけ助言してあげるわぁ……
ああ、
とはいえ彼女はそれ以上のことはしようとしないし、できないのだろう……生命体としてのアルピナはすでに死んでいる、という状態だから。
さて……揺れる荷台の中で体を起こし、音を立てないように周りに目を配る……アイヴィーとヒルダ、そしてロランが仮眠をとっており、御者台ではロスティラフとアドリアが何かを話しているが……まああの二人はいつも仲良いしな。
仮眠中の仲間を起こさないように、荷台から軽く外を眺める……揺れる荷台からゆっくりと街道の景色が流れていくのを見つめているが……のどかな国だ。
平和というのはいいことだ……前世が日本人である故なのか、平和という言葉には強い魅力を感じてしまうのだ……異世界で暮らしているとはいえ、やはり戦争とか辛いことなんか体験したくはないもんな。
「なんとかして……この国で起きていることを解決したい……けどな……」
「……トニー、この国では私から絶対に離れるな。近辺で恐ろしいまでの魔力の収縮と拡散を感じた、ただ者ではないものが近くにいるようだ」
ここ数日の魔力の動き、特にトニーが得意とする
「
「木々が恐ろしくざわついている……それと
「……
「
「
トニーは全くわからん、と言いたけな顔をしているが……
終末の日、がいつ来るのかはわかっていない……近いとは理解はしているのだが、それでもここ数十年の
「……私は森に戻った際に少しだけ話を聞いている、君の友人であるクリフ・ネヴィルが神性の道を歩むものであったと……黒い神は笑ってそう伝えてきたよ、それ故に私は君の友人にとても興味がある」
「……黒い神……ですか?」
トニーの不安そうな顔を見てもなお、
姿を視認することはできず、黒い影の中に赤い目と口を広げた不気味な姿で目の前に現れる……誰もがその姿を知らず、名前を知らず、その目的すら知ることはない。
あの姿を思い出すたびに不快感と不安を覚える不気味な存在……だが、それでもなお
「あれは不気味で邪悪な思考の持ち主だが……それでも世界を守ろうとする存在ではあるのだ……私も
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