236 漆黒の子山羊(ゴート) 02
「おお、出てきたなあ……」
ロランが砦の中から整然とした隊列を組みながら行進してくる
「こいつは……指揮官がいるな、それもとびきりのヤバいやつが……」
俺の言葉に仲間達の表情が引き締まる……遠目に見ても武器などの揃えもしっかりしているし、軍隊のように訓練された連中がこの砦に集結していたことに今更気がついて軽く舌打ちをするが、やることは変わらない。
俺は
俺の魔力集中に応じて、突然空に黒い雲がどこからともなく湧き出し上空で渦巻き始め、途端に
「……いい子達だ、逃げずにいてくれている……」
今回用意したのはやはり古い文献から掘り出してきた古代の魔法で、割と前世のゲームやファンタジー映画などでもお馴染みのものだったりして、文献を見てて少しだけテンションが上がるのを感じたりもしたな。
ただ、実戦で使うことはほとんどなかったので成功するかどうかはまた別の問題だったりもするのだけど。
<<
<<再計算により魔法発動に必要な魔力量、および成功率を向上>>
「んじゃま、まずは数を減らそう……
俺の宣言と共に、黒く渦巻く雲から轟音と共に無数の落雷が
単体攻撃用の
「……今だ! 掻き乱せ!」
今回の
悲鳴と怒号が飛び交う中、その隙を逃さずに、アイヴィー、カレン、ロラン、ベッテガが一気に突進を開始する……ロスティラフとヒルダ、アドリアが混乱する
突入したアイヴィーはその速度で……ロランとカレンは連携しながら周りの
「勝ちましたな……あれだけの数を一気に殲滅できたのは大き……何か来ますな」
「……ヤバいのが来るぞ、俺が止めるからヒルダを頼む」
ロスティラフが弓を放ちながら、俺に話しかけるが……砦の方向から凄まじい咆哮が上がると、その声に反応して
あまりに素早い連携に前線へと突入したアイヴィー達も戸惑うくらい、整然とした隊列へと戻していく……俺は魔力を集中させてふわりと空中へと浮かび上がると、一気に砦の方向へと移動していく。
「アイヴィー、ロラン! 下がってくれやばいのがくる!」
飛行しながら声を張り上げる俺に反応して、目の前で武器を交わしていた
それを見たベッテガも二人へと声をかけて、ジリジリと距離をとっていくがそれを見ても
一瞬、
「……
「な……うわああぁッ!」
飛行する俺よりも遥かに上空からいきなり声を投げかけられ、俺は咄嗟に
だが、流石に魔法で展開した
「……な、なんだ?」
俺は地面へと降り立つと、油断なく身構えつつその目の前に降り立った黒い影を見る……鍛え上げられた肉体、山羊の顔に金色の眼をしたその
なんとなくだが……この雰囲気には見覚えがある、魔物達の中でも戦いに勝ち抜いたものだけが身につける特殊な存在感、そして強者としての自負が生み出す圧倒的な圧力と不快感。
「クフフ……新世代の
目の前の
だが目の前の
「……お前がここの指揮官か?」
「左様、我ガラタンは戦士となる
グフフと笑うと、ガラタンは顎に手をやってから、俺の顔をまじまじと見つめる……金色の目が不規則に動き、まるでこちらを値踏みするかのような仕草をすると、再び大きく咆哮する。
ビリビリ、と体が振動するかのような大きな咆哮だ……まずいな、俺がここで掛かり切りになると、数に劣るアイヴィーやアドリアたちが不利になる。
内心を見透かしたかのように、ガラタンは不敵に笑うと両腕を広げてその掌に魔力を集中させていく。
「……ここで
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