121 ゲルト村防衛戦 12
その大きさはやはり尻込みするほどに大きく、九本の首……真ん中の首だけは少し大きく立派なトサカがついているのだが、その首が別々に威嚇するかのように蠢いている。
威嚇の咆哮が九本の首全てから発せられ、かなりの大音量で響く……腹に響く轟音というのはこういうのをいうのだろう。蛇のような声ではなく、
「でかいな……正直倒せるイメージが湧かないな……」
俺は
「
その声と同時に、
「
俺の魔法がロランの盾に齧り付いている首に命中して炸裂する……が、焦げ目すら着かない状態で、ギロリとその首の目が俺を睨みつける。口を開いて一気に俺に向かってくる首。
その攻撃を俺は大きく横へ飛んで間一髪で躱す。再び
「はは……目が怖いな……」
俺は額の汗を片手で拭うと、少し後ろへと下がる。前線で戦うのは俺の本領では無いからだ。特にこう言った巨体の敵を倒すには……俺の攻撃魔法はタイミングと威力が要求されるだろう。
「クリフ、でっかいの用意しとけ!」
入れ替わりにロランが
「まず一本取りましょう! やああっ!」
アイヴィーは、他の首の攻撃を華麗にかわしていくと、手に持った
一瞬遅れて赤黒い血が頭から吹き出し、アイヴィーは少しうわっ、という顔をしながら
首の一つを無力化したアイヴィーに
「うわ、殴ってるわ……」
アドリアが呆気に取られたような顔をしつつ、ロランへと支援魔法をかけていく。俺は
「どういうことだ? 頭に
ロスティラフが俺の疑問に答えるかのように
「やはり一本だけが本命で、他の八本の首は不死に近いですな!」
その本命のトサカのついた首は俺たちの攻撃が届かないように高く位置どりを行い威嚇に徹している。あ、届かないじゃないか。
「炎の王……
俺の攻撃魔法……
「効いてないな……もっと強力な魔法が必要か」
「クリフ……なんかいい魔法はないですか?」
アドリアが支援魔法や防御魔法を展開している間に俺に問いかけてくる。その言葉で俺は少し選択肢を考えていく。
そうだな……まあ、選択肢はそれほど多くない。
『
魔法大学の
ちなみにそこまでの破壊力を生み出しておきながら、実は行使に失敗しているという笑えない現実がある。今ここで使っても魔法を成功させる、という自信はないのだ。
「
クラウディオはゲルト村を見渡せる丘の上に立って戦闘の様子を見学している。その横には笑いを浮かべているネヴァンが立っている。
「二〇〇年ほど育てたそうだ。名前もつけておったかな……」
ネヴァンは
「さあ、あの
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