120 ゲルト村防衛戦 11
翌日……村の人々が避難を始めた後、軽い地面の揺れを感じて俺たちは顔を見合わせる。
「きたかな……」
「大きなものが移動しているようですな、振動が重いです」
ロスティラフが地面に耳をつけて、音の方向を確認している。ちなみに
「みんな動けそうか?」
昨日の戦いで怪我をした仲間もいるのだ……俺も治療を受けたが、まだ頭の芯が重い気がしている。とはいえここで引いたら
皆の顔を見ると……力強く頷くアイヴィー、アドリア、ロラン、そして笑顔のロスティラフ。大丈夫何がきても俺たちならやれる……。
「よし……準備だ」
その言葉に
地響きがゆっくりと村へと近づいてくる。石壁の上から見ると、巨体の怪物がこちらへと近づいてきているのが見える……あの姿は前世のギリシア神話にも書かれていた九本の頭を持つ蛇……
ただしこの世界の
「あれは
ロスティラフが
「俺は
俺は素朴な疑問をロスティラフにぶつけてみる。流石に王国では
「そうですな……私もあのサイズは初めてですが、
ロスティラフは知識を思い出すかのように顎に手を当てて、考えながら喋っている。その言葉を聞きつつ、アイヴィーやアドリアも石壁に登ってその巨体を見ると、少し苦笑いを浮かべている。
「
アイヴィーは赤い眼を輝かせながらも、流石に大きさに驚いているようで少し表情が曇っている。アドリアも大きさを見て少し引いている状況だ。
「正直いえば
ロスティラフはアイヴィーの疑問に答える。『
「9つの首は鋭い牙を持っていますが、物理攻撃に特化しているはずです。中心にある一本だけが本体で、それ以外は落としても生えてくる可能性があります。体に攻撃を集中した方が良さそうです」
ふむ……そういうところは前世のギリシア神話に近いかな……確か一本だけの蛇の首が不死で、それ以外はダミーのようなもの、ということだろう。
「以前、
ロランが俺を見て口を開くが、そこまで喋るとこちらに近づいてくる
「勝てなくて……俺達は逃げたんだ……それで村が一つ滅びた……だから、今回は逃げたくない……」
彼は
「クリフ……あの化け物を止めましょう。私たちがやらなければこの村は滅びます。だから……ッ!」
アドリアが俺を見つめて、強い意志を感じる目で訴える。俺はその目を見て……頷く。俺も同じ気持ちだからだ。アドリアの頭をぐりぐりと撫でると、俺は笑う。アドリアが赤面しながら膨れっ面で抵抗する。
「ちょ、ちょっと。何しているんですか」
「いや、俺たちはいい仲間だって思ってさ……信じてるよ皆」
その言葉で仲間達……アイヴィー、ロラン、アドリア、ロスティラフが俺を見て大きく頷く。
さあ、戦いを始めようか……俺は近づいてくる
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