110 ゲルト村防衛戦 01
あたり一面に不気味な角笛の音が響く。
その音を合図に、轟音のように
「北側からきますぞ!」
ロスティラフが櫓から叫ぶ。彼は自警団の射手へ指示を出しながら、周囲の状況を再度確認している。俺たちは北側の防衛のために門の外に立っている。目の前には柵が立ち並び……一気には襲いかかることができないようになっている。
大群が近づくにつれて、地響きの音や角笛の音、そして咆哮がどんどん大きくなっていく。後ろを見ると、自警団のメンバーが不安そうな顔で槍を構えている。
「大丈夫、俺たちが撃ち漏らした敵だけを相手してくれればいいから……」
俺は震えている自警団のメンバーへ、安心させるように話しかける。そういえば、俺は子供の頃にセプティムたちと一緒に戦ったことで、完全に麻痺してしまっているが普通の人はこういう戦いの前は自警団の面々のように恐れを感じるのだよな……。
アイヴィーが
ロランも兜を何度も被り直して細かく調整をしている。俺は……
北門の先に、
数が多く、個体の身長差もかなりあるようで一番大きいものは
ある程度の距離を保ったまま、
どうやら先頭にいる山羊頭で三本腕の
その山羊頭が大きく不思議な咆哮を上げると、角笛が鳴り響き……ゆっくりと集団が前進し始める。完全にこちらの戦意を奪うためにわざと駆け出さない……わかってらっしゃる。
「ならこちらは……一発大きいのを叩き込まないとな」
俺は杖を振るって魔法の準備を開始する。こういう場合は集団を巻き込むような大掛かりな魔法で出鼻を挫く方がいいだろう。
「炎の王……火炎魔人イフリートよ、異界よりその力を欲する我の前に、力を顕現せしめよ。」
相手がゆっくりとした進軍速度であれば時間が豊富にある……魔力を集中して、射程距離に相手が入るまでじっくり待つ……ここかな。
「
目標とした地点に火炎の嵐が巻き起こり、複数の
「ロスティラフ! 撃てえっ!」
俺の号令に合わせて、ロスティラフと自警団の射手が弓を撃ち始める。数は少ないものの、確実に弓矢が
「さすが……私たちはどうする?」
アイヴィーが
「ダメダメ、引き込んでから各個撃破していく方がいい」
俺はアイヴィーを止めると、柵の両側へと
再び咆哮が上がると一気に
「槍で突くんだ!」
ロランの号令で自警団が必死に槍を突き出して
連続で
自警団の槍で傷を負った
敵側からも弓矢が飛んでくるが……現状では石壁や
「そろそろいけるな」
単調な突撃を繰り返す
「アイヴィー、ロラン行くぞ!」
俺は二人に号令をかけて
「あ、この脳筋魔道士が!」
ロランが慌てて
目の前に
防衛に徹すると思われていた冒険者側のまさかの突撃に面食らったのか、及び腰で戦っている
そこへ、三本腕の山羊頭の
「貴様が集団の中心だな……我の名前はガルタン。存分に殺し合おうぞ」
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