93 混沌会議(ケイオス カウンシル)
「揃っているだろうか?」
彼ら
「……貴様らを待たせたようだ。久々の召還とのことで、時間が必要であったな」
程なく音もなく扉が開き……赤いローブの人物がこの部屋に入ってくる。五人の
「良い、我らは同志である。我に礼儀は必要ない」
赤いローブの人物は
「
その人物は赤いローブを身に纏い、白髪を美しくまとめ……理知的な黄金の眼を持ち、白い肌を持った男性だった。背は高いが他の
「久しいな
「はい、先日かの使徒と遭遇し……その力を確認してまいりました」
その言葉にその場にいた一人の
「おお……あの子とお会いになられたのですか? 彼はどのような成長をしておりましたでしょうか?」
その問いを発したのは、長い黒髪を無造作に束ね、頭にはねじれた角が2本生やし、はち切れんばかりの妖艶な肉体を最小限の高い露出をしている鎧に身を包んだ……そう、あのアルピナである。
アルピナは少し潤んだ瞳を
「使徒は……利発な、そして実力のある若者であったぞアルピナ。失われた古代魔法を復活させ、あの
その言葉に
「なんと……」
「脅威ではないのか?」
「使徒が脅威であることは理解している。今ここにいるアルピナ、ネヴァンがすでに一度倒されているのだ」
その言葉に従って黒いローブを着用し、薄桃色の髪を持った少女が恐縮したように下を向く。この少女はあのネヴァンである、ただクリフと対峙した時とは違い、10歳程度の少女の姿である。
「私もあの使徒殿の力を脅威と思っております……」
「お前は一度使徒に滅ぼされておるな」
「はい……」
ネヴァンは頷く。油断もあっただろうが、ネヴァンとアルピナを倒すだけの力量の持ち主なのだ。
「本人の力量も高いだろうが……仲間の力もあるのではないか?」
発言は髪の毛を剃り落とした顔に不気味な刺青を入れた男性から発された。彼は兜を被っていないが、
「クラウディオが言う通り……過去の使徒にはない仲間の支援も良い」
「それと、貴様の宿敵……剣聖の太刀筋を持つ女剣士を見た。まだ未熟ではあるが、成長すれば……」
その言葉にクラウディオが覇気と隠しきれない殺気を放つ。そしてクラウディオは咲う。
「クカカ……その女剣士、強く美しいのであろうな。我を昂らせる程度には」
「貴様が見ても……最上の一人であろうよ。美しい金髪の姫だ」
「セプティムの弟子は全て殺すと決めた。その剣士も……敗北の屈辱を忘れさせないために犯し尽くして……我の高ぶりを止めて見せよう」
クラウディオは欲望と、憎悪と、そして……言いようのない何か不思議な感覚を感じさせる表情で笑う。
「全く……クラウディオは女性を愛でることを覚えた方が良いわね。壊すものではないのよ?」
「カマラよ……我は転生の直後、やつに……剣聖に滅ぼされた屈辱を忘れておりませぬ」
クラウディオは恭しくカマラと呼ばれた娘に頭を下げる。クラウディオは
「我は必ず……剣聖を倒す……」
「そうね、あなたはそれで良いでしょうね。でも人は老いるわ……剣聖もいつか死ぬ。死ぬ前に剣聖を
カマラは笑うと、
「さて、いかがいたしましょうか?」
「第一柱、カマラよ。西方の諸王国への働きかけを行え。数年後を目処に彼らと帝国との戦争へと導く」
「仰せのままに我が主人よ」
第一柱カマラ……は椅子から立ち上がり、
「第三柱、クラウディオ。貴殿に大荒野の使徒への備えを命じる」
「承知……我の方針でよろしいでしょうか?」
「構わぬ」
その言葉を聞いて、クラウディオは満足そうに笑うと椅子を立ち、暗闇へと溶け込んでいく。
「第四柱、アルピナ。帝国内にて活動を行い戦争への機運を高めよ。剣聖との戦闘は避けよ」
「承知いたしました」
歪んだ笑いを浮かべて、アルピナも闇へと溶け込むように消えていく。彼女はすでに以前の力をほぼ取り戻している。戦闘でも引けを取ることはないだろう。
「第五柱、ネヴァン。お前は体を休めよ、我の補佐とする」
「ありがたき幸せ」
一礼をしたのち、ネヴァンはその場に残る。数年前に倒されてからネヴァンはまだ力を取り戻していない。少女の姿であるのもその証左だ。後数年……復活には時間がかかる。
「最後に……第二柱
「……ご命令とあらば」
「……発言を許可する」
「それでは……クラウディオに使徒の相手が務まりましょうか?」
「そうだな……だが、それ故に使徒を成長させる可能性が残っておる」
「……
その問いに答えず
「差し出がましい問いでした……貴方様の御心のままに」
再び一礼をすると
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