30 パーティメンバーのやれること確認する、これ基本ね
「さて、僕らチームの能力を確認し合おう」
「ちょっと待って、なんでクリフが仕切ってるの?」
「それはもうアイヴィー様のお手を煩わせることがないようにですよ、ウヘヘ」
「……あんた後で覚えておきなさいよ」
俺たちは放課後、大学が保有している訓練場の一つにいた。
自分たちが得意としているものを持ち寄ろう、と言う話になっていたため、それぞれ得意な武器などを持ってきてもらっている。
俺はいつもの木の杖と
冒険の時は一応
「俺はいつもこの杖と
感心したようにアイヴィー達が頷く。
「冒険者ってのも本当なのね。特にその
アイヴィーが
「クリフさんって結構ランクが高い冒険者だったりしますか?」
アドリアが質問してくる。俺は首飾りにしているプレートを見せる。その色は銅だ。
「そんな高くないよ、俺は学生が本分だし」
「それでも
まあこれには訳があるのだが、今話すことではないかな。
「私は魔法もちゃんと使えるけど……武器も扱えるのよ」
アイヴィーが
「ということは正確には
「そうね、私の父上は帝国伯爵と同時に騎士だったのよ。子供の頃から剣の勉強もしたわ」
ほう、とトニーが感嘆の声をあげる。
確かに
「私は支援系魔法が得意ですぞ」
トニーがポージングをしながら応える。お前武器ないんかい。
「と言うよりも私は自分の肉体を生かすために支援系魔法に特化したのです」
「肉弾戦が得意かと思ってた……」
俺は素直な感想を口に出した。ってかどう考えてもトニーは肉弾戦で戦うタイプだろ!
「私は格闘技の経験もございませんでしてな、はっはっは」
それはそれで頭痛い話だが、支援系に特化しているのは悪いことではないな。
「私は治癒系とかが得意です、防御系なども使えますよ〜」
アドリアが
「治癒系の魔法が得意なのは
「そうではないですよ、確かに治癒魔法や解毒魔法は
「とりあえずアイヴィーは前衛、トニーが支援系、アドリアは治癒、防御。攻撃魔法は俺と考えると冒険者パーティに必要なものは大体揃ってる気がするな」
「そうですな、アイヴィー殿には多少負担がかかる気もしますが、その辺りは援護できればと」
トニーはポージングを決めつつそんなまともなことを言い出している、いやポージングの時点でなんかおかしい。
「アイヴィーはどういう魔法が得意なの?」
「私は自分の能力を強化するのが得意ね、一応攻撃系も覚えているけど……」
身体能力を魔法で強化して戦えるのはかなり強力な気がする。実は王国でこの辺りの魔法を覚えようと思っていたが、複雑な内容だったので覚えるのを後回しにしていたのだ。
「そこは俺が補えばいいかな。俺も接近戦は心得があるけど、戦士ではないので」
あれこれ話しながら、現状把握を進めていく。とはいえ相当にこの四人でできることは多そうだ。
「イベントは二週間後だった。一度みんなで冒険者登録をして、軽く肩慣らしをしておいた方が良さそうだね」
「あ、それ良いわね。私一度冒険者の仕事を体験してみたかったのよ」
アイヴィーが即食いつく。トニーもアドリアもやりたかったようで、賛成してくれた。
「じゃあみんなで
俺が初めて冒険者登録して受けた依頼は、確か不足しがちな薬草の収集依頼だったんだよなあ。
今でもその依頼のことを思い出すことができる。
薬草を集めていたところに
「お互いのことを理解しておかないとぶっつけ本番というのは危ないもんな」
昔先輩冒険者から言われたことを思い出して俺は独り言のように呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます