15

夕方の街の公園。時間を確認すると、六時四十分だ。いつもの様に早めに待ち合わせ場所に着いて、ドキドキしながら先輩を待つ。


「いけざわー!」


 五分程待っていると、佐伯先輩が私の名を呼びやって来た。先輩も、早めに来る様に心掛けているのかも。立派なデジタルカメラを持っている。


「先輩、こんばんは。立派なカメラですね」


「このカメラな。ペルセウス座流星群を撮ろうと思って持ってきたんだ」


 先輩は、ちょっと不安そうにする中、期待を込めて話をする。


「連写機能を使って撮るんだ。ただ、三脚がないとブレるんだけれど、荷物になるから持ってこなかったんだ……上手く撮れるといいんだけれどな――」


 そう言って、空の様子を確認する先輩。空は、晴れている様な曇っている様な……微妙な天気だ。


「じゃあ、日高山に向かうか」


「はい、先輩!」




 私と先輩、二人で日高山に向かう。日高山に着くまでの道のり、ペルセウス座流星群について話をする。先輩と話をしている時間は、楽しく、先輩が愛しく、とても大切な時間だ。


「カメラで流れ星を撮ると、流星が尾を引いている様に見えるんだ。光が長く見えて、流れ星が幾つか映ったりする事もあって、凄く綺麗だよ」


「はい、何だか凄そうですね。凄く楽しみです。素敵です」


 歩いて日高山に着くまでの三十分程の間、その間も凄く楽しくて、私は笑みが零れている。佐伯先輩も嬉しそうに笑いながら、ペルセウス座流星群について話をする。


 日高山に着いたら、ロープウェイに乗って山頂まで向かう。街灯が届かない所まで行って、夜を待ち、暗い所で流れ星を観測する。他にも観客は居るかもしれないけれど、付き合ってから初めて星を観測して、そして、先輩と二人っきり。胸の鼓動がドキドキと脈打って、期待でいっぱいだ。

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