14

 ペルセウス座流星群観測当日、八月十二日。夕飯を食べた私は、街の公園に向かおうとする。するとキュリルが、僕も連れてってと言ってきた。


「キュリルも、夏稀ちゃんに付いていくの!流星群を観に行くの!」


 キュリルは、私に付いていくという。いつもの事だ。


「分かったわ、キュリル、一緒に行きましょう」


 キュリルは、今回も嬉しそうだ。凄い喜びようだ。


「嬉しいの!キュリルは、役に立つの!流星群を観に行くの!」


 ブンブンと部屋の中を飛び回るキュリル。いつも、この妖精さんは嬉しいようだ。


「さて、そろそろ街の公園に行かなきゃね……あら――」


 LINEに着信が届いていた。美緒と一美からだ。佐伯先輩からもLINEが着ている。




涼太 池澤、今日は楽しみだな。七時には街の公園に向かうよ




涼太 ペルセウス座流星群、きっと綺麗だろうな――




 佐伯先輩は天文部。普段から星を観測する程、天体観測が大好きだ。ペルセウス座流星群の観測に、いつも以上に熱量を感じる。星を好きな先輩を丸ごと好きになるのも、何だか素敵だ。




夏稀 はい、私も楽しみです!七時に街の公園で会いましょう!




 佐伯先輩に返事をして、美緒と一美とのグループLINEを観る。




美緒 涼太先輩との星空観測、上手くやるのよ!




美緒 夏稀なら、大丈夫よ!






一美 流れ星を観に行くのよね




一美 涼太先輩とイイ感じになるといいわね!




 二人のエール。いつも応援してくれるけれど、やっぱり心強いな。




夏稀 ありがとう!佐伯先輩とのペルセウス座流星群観測、楽しんでくるわね!




 温かなエールを貰い、(後は、佐伯先輩とのペルセウス座流星群観測に向かうのね)と心の中で呟いて、街の公園に向かおうとする。あっ、そうそう。キュリルを一緒に連れていくのね。


「キュルキュル―!僕も一緒に行くのー!」


 キュリルは空中を飛んで、自ら私のトートバッグに入ってきた。そうするとその中で、ぬいぐるみの様に大人しくしている。


「キュリル、今日も応援お願いね」


キュリルは動かずに、「キュルー」とだけ鳴いて返事をする。街の公園へと向かう私。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る