つじつま合わせ

なんにもなかった

「何かが出来る」

「自分なら何かが出来る」とそう思っていた

なんにもなかった


なんにもない自分が嫌いだった

人間嫌われでみんなに嫌われて

それでいいやって開き直ったって

「嫌われたくない」って思う自分には嘘つけない


そんなことばかり考えて

気がついたら朝を迎えてた

そういう日々ばかり送っていた

おかげでもう涙も涸れたよ


なんにも出来なかった

大好きだった人にすら見切られる人間になった

何かになれる人間じゃなくて

何もかもを失くす天才だったんだよ僕は


それでもこうして今日を描いてる

何もかもを失くした昨日の先を

手にし得ない幸福を書いてるんだ

『空想』だと分かっていながら


死にきれなかった、あの夜から合わせる辻褄

報われなかったあの日に合わせる辻褄

何にもないと嘆いた僕を少しでも肯定する為に

今日も僕はこういう事を書いてるんだ

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