夜が好きだ

幸せな時はいつも夜だった

誰にも触れてほしくない傷を匿ってくれた

誰も干渉しないから

誰も分かってくれない傷の痛みの理解者で

脆い自分と向き合ってくれて

泣きじゃくる僕に何も言わず

夜の向こうの白々しい朝まで連れてってくれた


出会いも別れも大抵夜で

良い思い出なんかなんもないけどな

けど大嫌いな親も寝静まって

自由に泣かせてくれた

自由に痛みに顔を顰めさせてくれた

それがこんなに安心するなんて

それは自傷じゃ得られない感覚だった


だからこういうことを考えるのも結局夜なんだ

大好きな音楽を聴いて、独りごちて

唯一自分を飾らなくて済むから

もうそばに誰もいないけどな

でも秒針が鳴り響くこの時間が僕は好きなんだ

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