第85話 後日談 ゲンベルク帝国
「どうじゃ、ワシが監修した性魔道具の人気は?」
ルベリートさんがひょっこり執務室に顔を出した。いわゆるドヤ顔だ。
「……残念ながら、大人気です」
「カッカッカッ!もっと喜んだらどうじゃ?おんしの姉も関わっておるのじゃぞ?」
姉様が積極的に関わっているのは本当だ。特にフェルミーナ姉様は性魔道具を通じて貴族の間で絶大な影響力を持つようになった。ルベリートさんのお陰と言えるかもしれない。
「ほれ、持ってきてやったぞ」
机にポンと果実が置かれた。コニーさんの果実だ。
「ありがとうございます」
コニーさんの果実を齧ればあと2日ぐらいは徹夜出来る。仕事も進む。
「そんなやつれた顔をして、大丈夫なんか?」
「……ちょっとやることが多くて。まぁでもこの実があれば何とかなります」
ルベリートさんがさっと果実を仕舞った。
「やっぱりコレはやらん。コニーの果実は快楽の為にあるんじゃ。無理して働くためのもんじゃない」
「……」
「フィロメオ、ちょっと頑張り過ぎじゃ」
「今が踏ん張り時なんです。日本で学んだことを帝国に組み込めば、必ず大きく発展します」
「えーから、たまにはぐっすり眠ってええ夢でもみろ!」
「いえ、そんなわけには──」
「ほれ」
ルベリートさんが手を私の目の前に出し、ゆっくりと指を鳴らした。たちまち意識が……。
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「フィロ君にオススメしたいのはこの動画っす!」
和久津さんがPCを操作するとリビングの大型モニターにポルノサイトが表示された。サムネイルの作りが雑で違和感がある。
「おっ、その顔は困惑してるっすね?今まで紹介していたようAVメーカーが作った動画はもちろんクオリティーが高いっす。でも、素人が自分達で撮影してアップしている動画もなかなかのモノなんすよ!」
和久津さんが熱い。
「……そ、そうなんですね」
「まぁ、とは言っても無料で観れるのはごく一部、本当にサンプルだけってことが多いんすけどね」
「和久津さんは無料──」
「有料会員っす!自分はありとあらゆるサイトの有料会員ですし、個人に対しても課金しまくりっす!!」
この人は大丈夫なのだろうか?まぁ、お金の面では大丈夫なのだろうけど、人として……。
「さっ、コレが今1番オススメのアカウントっす。素人カップルが自分達で撮影しているんすけど、毎回衣装も凝っていて──」
「和久津さんっ!!」
「「ヒッ!」」
振り返ると五条さんだ。いつの間に部屋に入ってきたのか。
「フィロ君にこんなモノを見せないで下さい!!」
「す、すいません」
「フィロ君もフィロ君です!そんなに女の人の裸が見たいの?」
うっ。答えに困る。私だって健全な男だ。女性の裸に興味がないわけではない。
「……ふーん。フィロ君もやっぱり男の子なのね。裸が見たいなら私が──」
「ダメっす!五条さん、それは駄目す!!」
「止めないで和久津さん!フィロ君の教育の為に、私が脱ぎますっ!!」
五条さんがブラウスのボタンを外して──
はっ。
見覚えのある天井だ。ここは自室のベッド。いつの間にか執務室から運ばれていたようだ。
「ふぅー」
息を吐くと随分と身体が軽くなった気がした。淫夢は余計だったけど、ルベリートさんには感謝すべきかもしれない。
「皆さん、元気にやっているんでしょうか?」
もちろん、誰からも返事なんてない。
でも、脳裏に浮かぶのは喧騒と混沌。きっとあの人達は変わらず元気に馬鹿をやっているのだ。間違いない。
「さて、今日も頑張りましょう!」
私は起き上がった。
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