第37話 帰ってきたエロフ

「ネギシ!」


早朝の駐屯地。声のした方を向くとルベリートがいた。どうやら地球から戻ってきたらしい。日焼けした肌に黒のハイレグ、黒のサイハイブーツで堂々と歩いている。完全に地球にかぶれているな。


「久しぶりだな。元気にしていたか」


「コレヲ!」


ルベリートは嬉しそうに手に持っていたものを渡してきた。


「DVD。ついにデビューするのか?」


パッケージを見るとタイトルは"序章"とある。


「イメージビデオジャ!」


まさか、この女。


「イメージビデオを数本だしてからのAV落ちムーブをやるつもりか!!」


「フフフ」


ルベリートの笑みは成功を確信したものだ。地球の、いや、日本のエロを理解してしまったようだ。実際、成功は間違いないだろう。エロフチャンネルの人気はえげつない。イメージビデオの金字塔になる可能性すらある。


「しかし、随分とイメージが変わったな」


小麦色になったルベリートの見た目はいわゆるダークエルフだ。


「ワクツプロデュースジャ!」


あの男、自分の彼女が地味な反動か。ルベリートに対しては随分と大胆だな。欲望に忠実なやつだ。


「そういえばルクハルトが魔道具を完成させたようだぞ」


「オオオ!ルクハルトハドコジャ?」


興奮して鼻息の荒いルベリートをなだめ、ルクハルトの元へと向かった。



######



「ゼンゼンダメジャ」


ルベリートはルクハルトが作成した大人の魔道具を放り投げ、冷たい視線を送った。実は自信があったのだろう。ルクハルトは動揺を隠せずに眼を泳がせている。


「ウゴキニバリエーションガナクテタンチョウ。ルクハルトニハガッカリジャ」


何処かで聞いたことのあるようなセリフだ。日本語なのにルクハルトには伝わったようですっかり肩を落としてしまっている。


"そんなに落ち込むことはない。よく出来ている"


"気休めはやめてくれ!"


ルクハルトは作業台に投げ出された大人の魔道具を見つめ、拳を握っている。


"ある所に、大人の魔道具の全ての記録が収められている"


"……"


"もし、ルクハルトが学びたいのならそこへ連れて行ってやろう"


"頼む!このままでは終われない!"


"ただし、今後も俺に協力してもらうぞ?"


"……分かった。協力しよう"


"よし、ついてこい"


翌日から和久津の家には住人が1人増えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る