第22話 もう一度待つ
日本エクスプローラー協会の本部は日比谷公園内にある古い建物の中に置かれている。昔は建物の一フロアだけ借りていたらしいが、業務の拡大に伴い、今では6階建の建物ほぼ全てをエクスプローラー協会で使っているらしい。
鑑定サービスのカウンターはその歴史的建造の2階にある。受付に「冒険しよう!」アプリの通知を見せると、ソファーに座って待てと言われた。
「また待つのか」
「楽しみ」
黛奈々は当然のようについてきた。断ろうと思ったが、断っても意味がないことに気付き、同行を許可した。こいつはその気になればその存在を透明に出来るのだ。本気になれば世界中のどんな情報だって得られるに違いない。
少しあって、中年男性がこちらにやってきた。
「根岸三郎さんですね?」
「ああ、そうだ」
俺はアプリの本人確認画面を男に見せて納得させた。
「この封筒の中に鑑定結果が入っています。あと、お預かりしていたモノも返します。受け取り欄にサインをお願いします」
そう言って男は書類と封筒とスキルオーブの入っている箱を渡してきた。俺はさっとサインを済ませ、そのままスキルオーブをマジックポーチへしまう。
「非常に興味深い鑑定結果です。もしご自身で使われない場合は協会までお願いします。悪いようにはしない筈です」
「生憎だが初めてなんだ。自分で使う」
「そうですか。分かりました。では、私はこれで」
男はそう言うとカウンターの向こうに戻っていった。
「見たい」
大鎌をふりふりして黛がアピールする。一応、刃の部分にはカバーが付いているが、デカイ金属なので危ない。そもそも重くないのか疑問だ。
「ここでか」
「ここで。今。ライトナウ」
わかってはいたが、こいつは我慢とかしないタイプだ。
「落ち着け」
俺は封筒から3つ折りの紙を取り出して少しだけ中を開いた。
ほう。これは使えそうだ。
「なんだった?」
「ここでは言えないな」
「なら見せて」
「声にだすなよ」
「出さない」
俺は封筒の中身を黛に渡した。黛はゆっくりと開く。
「面白い」
そう、面白い。非常に面白い。
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