第5話 親切な和久津
「第二階層に降りる前に念のため注意っす」
「なんだ?」
「まず、次の階層から階段のすぐ側に転移石が設置されてます。新しい階層に着いたら必ずタッチしてください」
「ああ、ダンジョンの入り口にあったのと同じやつだな。行ったことのある階層に転移出来るありがたい装置って認識でよいか?」
「その通りっす。次にモンスターですけど、次からゴブリンが武器を持ってるっす。錆びた剣とかですけど、当たればパイセンのスーツは破けますよ」
まぁ、別に会社に行くわけでもないし問題ない。
「最初、相手の武器の間合いって全然掴めないので本当気をつけて下さい。いくらパイセンの身体能力が上がっていても皮膚が硬くなるわけではないので、当たれば普通に怪我しますから」
和久津がエクスプローラーの先輩としてのアドバイスをくれる。ありがたい。
「て、聞いてるんですか!さっきからずっとスマホ弄ってますけど!」
「あー、聞いてる聞いてる」
「それ!聞いてない時の返事!」
「いや、すまん。ちょっと加護について調べてたんだ。せっかく加護を貰ったんだ。身体能力向上の他にも何かある筈だろ?」
「あー、そうですねー。加護をくれた神様にまつわる特殊能力を授かるらしいですね。加護持ちは」
「協会のサイトで色々見ていたんだが、色々ありすぎて傾向が全然掴めないな」
「例えば有名所だと、美の神の加護は見た目で歳を取りにくくなったりしますよね。エクスプローラーとしてメジャーなのは力の神で、身体能力でも腕力だけプラス補正がありますね」
「その辺は協会のサイトに載ってるな。他に公開されていないような特殊能力はないのか?」
「そーですねー。色欲の神様の加護はめっちゃ強くなるらしいです」
「なにが?」
「言わせないでくださいよ!」
「すまなかった。つまりそういうことだな」
「つまりそういうことです。まぁでも、性悪の神様なんだから、悪戯が上手くなるとか?」
「もう上手い。成長限界だ」
「確かに!」
「うーん、やっぱり分からんな。色々試してみるしかない」
「ですねぇ。とりあえず下の階層に降りちゃいますか?」
「そーいうことだな」
いよいよ第二階層におりる。
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