憂鬱から楽しみへ

はぁ、とりあえず準備しなきゃ。


憂鬱な気持ちになりながらも仕方ないと諦め気持ちを切り替える。


ちなみに、カリバン先生のご厚意で、制服や教科書などの学校生活で必要なものはすべて

学校側で用意してもらえることになった。


来週に制服も教材も届く予定だ。


衣類などは父様に頼んで既に学校へ送ってもらったし、わたしが用意するものといえば愛用の魔法道具と羽根ペンぐらいなものだろう。


連絡に必要なクリスタルが埋め込まれたブレスレットは身につければいいし、仕事に関する資料なんかは用心のために魔法で暗号化して広くしたリュックの中に入れたから問題はないはずだ。


正直に言うと、決まってしまった今でもタトランへは行きたくない。


実力主義の学校だし、わたしくらいのレベルならきっとゴロゴロいる。


それにわたしは平民だからジロジロ見られることにもなるだろうし、特に髪色のことでは色々と言われることになると思う。


わたしは白と黒のグラデーションがかったとても珍しい髪色をしている。小さいときはそのことで貴族の令息や令嬢にいじめられたりもしたことがあった。


それに、幼馴染のリアムは小さいときから令嬢たちにもモテたし、侯爵家の長男だったからそれなりに注目もされていた。


だけど平民であるわたしと一緒にいることが多かった。というかリアムがわたしを優先してくれていた。


そのことが令嬢たちにとっては不満でしかなかったんだろう。


ある男爵家の令嬢がわたしの髪のことを奴隷商人に情報を売って、わたしが誘拐されるという事件が起きた。その頃のわたしはまだ本格的には魔法の修練に入っていなかったから大した抵抗もできずに連れされてしまった。


くだらない嫉妬から起きたこの事件。これをリアムは自分のせいでわたしが誘拐されたと思っている。


たしかに、リアムと一緒にいる時間が長くて事件を引き起こしたのかもしれない。だけどわたしは好きでリアムのそばにいた。リアムがわたしのことを避けるようになってからもそばにいたかった。その気持ちは今も変わらない。


責任感が強いのはいいことだけど、強すぎるのも考えものね。まぁ、わたしはそういう真面目なリアムが大好きなのだけど。


あぁ、タトランにリアムが通ってるなら喜んで行くのに。


・・・ん?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうだよ。そうだよ!!!!リアムが通ってるかもしれないじゃない!そうよ。今のリアムがどれほどなのかはわからないけれど小さいときは同じ年齢の子の中では一番強かった。それに、身体能力が高かったから、体もよく動くし頭の回転も早かったから的確な判断ができていた。これならきっとタトランに通っていても不思議じゃない。


なんで今まで思いつかなかったんだろう。リアムならきっとタトランでも優等生に違いないわ!


あぁ、決まったわけではないけど、少し楽しみになってきた。





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