第19話 エピソード‥18

 健と俺は高校に進学する筈もなく、さとしとがんが高校に行っている間はずっと二人だった、午前は近所のスタンドでバイトをして、さとしとがんが帰ってくるまでは大抵、ゲーセンかレンタルビデオを見ていた。



 俺には中二の時少しの間だけ付き合ってる女がいて、三つ上の先輩だったこともあり早々経験も済ませてはいたが健は十五になっても未だに未経験だった。


 バイトの無いときの昼間は大抵二人でスーファミをしているか、ネタを考えているかだった。健の十六の誕生日に俺はデリヘルを健の家に呼ぶ案をさとしとがんに相談した。


 さとしはあの時の彼女とは既に別れていたが同い年の新しい彼女がいた。

 がんは中三の時に二歳上の先輩の彼女に筆降ろししてもらっていたから、みんな賛成してくれた。


 誕生日に“ラブ ア ナイト”とかいう怪しめのデリヘルに電話し巨乳の十八才の恵美ちゃんを指名し、そのことを健につげ集めた金を健の財布にぶち込んだ。


 健がシャワーを浴びている間に俺達は隣の部屋に行き息を殺し、行為が終わるのを待っていた。誰もいないと思っていた健は、まだ時間内だからともう一回戦をねだっていた。そこに興奮の坩堝だった俺達は突撃し、はじめて正真正銘の四兄弟になった。


 さとしとがんが高校を辞めるまでには、それからあまり時間が掛からなかった。

ほぼプー太郎同然の俺達には世間の風は冷たいらしく、他の友達達は全然近づいてこないようになっていた。


 俺達は暴走族とかチーマーとか、大勢でタムロする事には興味も無かったから余計なのかも知れない。


 世間でいう一般人にも、不良と呼ばれている人種からも外れていた俺達は、木枯らしに吹かれた落ち葉のようにふわふわとしていたに違いない。


 俺達がゲーセンでストリートファイターにはまっている時に出会ったのが、五つ上の理恵だった。


 肩より少し長めのちょっと茶色みの髪質で、目はぱっちりとした二重で、年上とは思えないほど幼い少女のような雰囲気もあり、見ただけでスタイルが良いのが解るほど、スラットした綺麗な足は大人の妖艶さも漂わせる、すれ違うたびに良い匂いがした。

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