第12話 エピソード・・11
これが俺達4人のなり染め。
そして今日はなんと、はじめての裏ものをゲット。
バスケ部の先輩達のお下がりだけど、いらなくなったビデオとかエロ本とかは、よく提供してもうんだが、なんと言っても裏物は初めて。
見るのは小五の時に見た健の妹のさゆり以来だ。
俺達は健の家に集まって、電気を暗くしてから三十分、
誰も一言も発しなかった。
あまりに強烈な印象で言葉にならなかった。
最初に口を開いたのは、「あれなんか腹痛いな、ちょっとトイレ」って部屋をでた、健だった。
その健の白々しさをみて大爆笑が起こり、みんな緊張の糸がほぐれたのか、口々に初めてみたその行為、その母なる台地の感想を漏らし、ビデオを何度も巻き戻し見続けた。
しばらくして一人ずつその行為を済ませると、暇を弄ぶように悪戯電話合戦になった。
じゃんけんをして負けた奴が好きな女子生徒の家に電話をして、そのビデオの声を聞かせるというかなり幼稚な奴。
最初に負けたのはがんだった。学校の連絡帳を取り出してきた健の顔を、強くにらんだがんの顔が面白くて、俺達はまた大爆笑した。
がんは同じクラスの吉本翔子が好きだった。
好きだったというよりかは、よく二人でこそこそ会話をしている目撃情報もあったから、両思い説が俺達の中では流れていたけど、がんは一向に俺達にその話をしてこないから、実は付き合っているんじゃ無いかと勘ぐったりもしていた。
だからその分、負けて嫌がるがんを説得するのに、十分以上掛かったじゃないかな。
でもその甲斐なく電話口には吉本翔子の婆ちゃんが出てしまったので、しょうがなく冥土の土産に五分ほど聞かせてやった。
次に負けたのは俺だった。三人には話していたけど、俺は井上律とういう背の小さい、頭の良い子が好きだった。短いちょっと栗毛の髪の、笑顔がいつも気になっていた。
自分から言い始めたゲームを自分がやらない訳にはいかず、かなり顔を真っ赤にしながら電話を鳴らした。
プルルルルッ、プルルルルッ の呼び出し音の後、本人が出た。
俺は直ぐにビデオの音量を上げ、黒電話の鉄アレイの部分をテレビに近づけた。「はい、井上です。」
「どちら様ですか」と問い掛ける声が二、三度聞こえると直ぐに電話は切れた。
四人からはため息と同時に笑い声が起こった。
「本人出た~」とでかい声を出したさとしに「聞こえたかな?」「絶対聞こえてるよ、明日学校で聞いてみようぜ」と言うがんと健に、「あほ、聞いたら俺達がかけたってばれんじゃん」と戒めた。
そこで次のじゃんけんをしようとみんなの拳が集まった時に、俺は考えた。
声を出さないで音を聞かせても、電話は切られてしまう。それだと結局ただのいたずら電話になっちゃうからつまらない。
「これさ誰かが話さないと、電話切られちゃうじゃん。だから、違うやり方を考えようぜ」
俺がそう言うと、じゃんけん拳を突き合わせていた三人が、畳の上に寝転がった。
みんなで色々な案を出しているうちに小腹が空いてしまい、一旦、しのみ堂に行くことにした。
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