第11話 ピヨすけの正体


「ど、どういうことだディオリーゼ……俺のピヨすけの命があと十一ヶ月……?」



「うっふふぅシロウちゃん、言った通りの意味だよー」



 俺の問いにディオリーゼが応える。


「鳳凰様はさ、千年ちょっと前に力のほとんどを使い切ってしまってー、もうそのヒヨコの姿が消滅一歩手前の限界状態なのー」


 力を使い切った? 消滅一歩手前?


「なんとか元の姿を取り戻そうとしたんだけどー、適合者が現れなくてもう千年も経ってしまったのー。鳳凰様の命も残り一年が限界、もうだめかと思ったんだけどー、そこに颯爽と現れたのがシロウちゃんってわけー」


 適合者……? やばい、俺の知能が低すぎて、何言っているかさっぱり分からない……。



「ま、とにかくさ、早くしないと鳳凰様死んじゃうよー。シロウちゃんはそれでもいい?」


「っ! いいわけあるか! ピヨすけはずっと俺の心を支えてくれたんだ……まだそのお礼も、恩返しも出来ていない。教えてくれディオリーゼ、俺はピヨすけを助けたい……ピヨすけにはずっと俺の側にいてほしいんだ!」


 俺は頭を下げディオリーゼに誠意を伝える。


 ピヨすけが死ぬ……嘘だろ……そんなの、絶対にだめだ!


「わーぉ、頭を下げるとか何の解決策にもならないけどー、シロウちゃんの真っ直ぐな想いがぐいっとお姉さんの心に突き刺さるぅ」


「頭をお上げ下さい王よ。我らは王と鳳凰様の強い想いを理解し集ったのです。お救いしたいという気持ちは我らも同じ。さぁ命を、王の想いを真っ直ぐに伝えて下さい。我らはそのためにここにいるのです。我らは持てる力で必ずや道を切り開き、どんなに闇が深かろうが迷わずに一点の光へ歩む王の翼となり剣となりましょう」


 黒いシャツを着ているディオリーゼが自分の大きなお胸様を触り恍惚の表情。


 そして白いシャツを着ているソシエルリーゼが優しく俺の背中をさすり微笑む。


 ……そうか、俺のこの力はピヨすけを救うことが出来るのか。


 ありがたい、強い力なんてもらってもどうしていいか分からないが、これが誰かを救う力となるのなら、俺は迷うことなくこの力を使おう。



「俺はピヨすけを助けたい、その為に二人の力を貸して欲しい。ソシエルリーゼ、ディオリーゼ、俺についてこい!」


「はっ、このソシエルリーゼ、王と鳳凰様の為に我が槍を振るいましょう!」


「いいよーシロウちゃん。敵はこの私が大体全部真っ二つにしてあげるからーうっふふぅ」


 ソシエルリーゼとディオリーゼが俺の前に並び応えてくれたが、その横にもう二人追加で並びだす。


「ふふ、私も行くよ。だって私はシロウの雇い主だし。それに神獣召喚が出来る人と一緒に自由気ままな旅に出るなんて、もう一生出来ないだろうし」


「私も行こう。千年前に途絶えた生物召喚を復活させた少年。文献で見た記憶のある鳳凰の秘密。どちらも大変興味がある。召喚士として研究者としてぜひ君のパーティーに参加したい」


 ネイシアとエレンディアさんさんがニコニコと俺を見てくる。


「ありがとう二人共。とても心強いよ」


 基本、ソシエルリーゼとディオリーゼは俺が呼び出さない限り『俺一人旅』になるからな……。


「ピ!」


 それを見たピヨすけが元気にパーティー参加列に並ぶ。うーん、可愛い。


「……そういやさっきからピヨすけのことを二人は鳳凰様とか言っていたけど、ピヨすけも神獣か何かなのか?」


 ピヨすけの頭を優しく撫でつつ、ずっと疑問に思っていた質問をディオリーゼにしてみる。


「あれれー? まさかシロウちゃん、知らずに呼び出していたのー? このお方こそ我らの頂点に立つ存在『輪廻と再生の大鳳凰鳥』リィンフェニックス様ですよー」



 ……え、リ……フェニックス? フェニックスってあの火を纏った鳥の姿の? ゲームとかでよく見る……。


 まじで? どう見ても可愛くて小さいヒヨコなんだけど?












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