第6話 フレイクの魔法

「暇つぶしのためって言っても、具体的に何をすればいいんだよクロムウェル君。」

スイーっと、先頭にいるクロムウェル先生の方に飛んでいく。

「そうですね……派手な魔法、例えば【火炎剣フラーマ・グランティス】なんてどうでしょう?」

火炎剣フラーマ・グランティス】。それはフレイクが魔者狩りの集団に襲われた時にも使っていた魔法で、炎にまとった何本もの剣が現れ、それが飛翔するという魔法だ。たしかに派手っちゃ派手な魔法だ。

「……その魔法知ってるか、理由は聞かないけど……まぁそれでいいか」

フレイクは両手をいっぱいに開き、唱える。

「━━火炎剣フラーマ・グランティス

ホウキの周囲に無数の炎を纏った剣が現れ、見たことの無い魔法をみたクランメイトは「おぉ!」と驚いている。

「この火炎剣、一本一本が上位魔法並の威力を持ってるよ。でも一度発動したら使うまで消えないんだけど、相殺できるクロムウェル?」

「えぇもちろんですとも。舐めてもらっては困りますよ、精霊フレイク殿。」

クロムウェル先生はそう言うと目を閉じる。

「━━氷柱グラーシェス

ホウキの周囲に氷の柱が火炎剣と同じ数だけ現れる。

いつしか辺りは暗闇に包まれ、炎の赤い光と、氷の青い光だけが光っている。

「「━━相殺オフィセット」」

灼熱の火炎剣と氷結の氷柱がぶつかり合い、互いに小さく余韻を残しながら2つの魔法は相殺された。


突発的な魔法ショーから数十分後、ついに研修旅行をする大竜連邦【パチリアム】がある遥か南の大陸が見えてきた。

「やっと着いたぁ……!」

「ん……着いたの〜?」

「あ、やっと起きた。」

マリークを出てからずっと隣で寝ていたアテネが「う〜ん」と体を伸ばす。ちなみにフレイクとクロムウェル様の魔法の時も寝ていた。

夜寝られなくても知らないぞ━━そう思いながらアテネに声をかける。

「そろそろ着きそうだから起きといた方がいいと思うよ。」

眠そうなアテネは「は〜い……」と欠伸をしながら返答する。

「まだまだですよ。そうですね……あと3時間ほどでしょうか。なので寝ててもよいですよ。」

「え……そんなに遠いんですか……!?」

「ええ。」

(マジか……)

さすがにこれから3時間も起きている訳にもいかず、目を瞑って何とか寝ようと試みたものの、結局3時間ずっと起きる羽目になった。

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