第3話 凄い先生が来た。
今日のモーティング(morning meeting の略)が始まり、いつものようにサヘイ先生が今日の授業内容等を話す。
「━━さて、今日の授業は説明したとおりだけど、今日から2ヶ月間、皆も知ってるだろうクロムウェル名誉教授に教えて頂くぞ。」
そう言うと、サヘイ先生は扉の方に向けて「どうぞ、お入りください」と言う。
今日から僕達を指導するクロムウェル様は、テリアス中の全ての書物を全てお読みになり、残さず暗記されているらしく、もちろん魔法の実力もテリアス国の5本指にも入るとされてる実力者だ。
「やぁやぁこんにちはテリアス魔法学院4年生の皆さん。
クロムウェル様は僕達生徒に向け、なぜか礼儀良く礼をする。僕は慌てて頭を下げる。他の皆も驚いたらしく、ポカーンと口を開けている人もいれば、僕と同じように頭を下げている人もいる。
そんな僕らの行動を見て、クロムウェル様は苦笑いする。
「フ……あなた方は将来私よりも偉い立場に━━っと、これは機密事項でしたね……。まぁとりあえず、これから2ヶ月間よろしくお願い致しますね。」
「……ではクロムウェル名誉教授様、この方々のことよろしくお願いします。」
サヘイ先生はそう言うと教室を出ていった。
「さて、と。私の自己紹介は終わったし、今からあなた方の自己紹介を聞かせてください。それじゃあ右前の君からお願いします。名前と得意な魔法だけで言ってくれたら良いのでね。」
僕から見て1番左前にいる人が慌てて立つ。
「わ、私はクリッチ・ハビリンとい、言いますっ……! と、得意な魔法は火ですっ!」
「得意な魔法は火…ね。よろしく、ハビリン君」
と、クロムウェル様はノートに何かを書く。
「とまあこんな感じに、前から後ろの順番で言ってくださいね」
クロムウェル様は「それじゃあ次君ね」と後ろの人に促す。
「俺はガルク・ケル。得意な魔法はハビリンと同じ火だ。それよりクロムウェルセンセー、質問いいか?」
「どうぞ」
「皆ビックリしてるけど、この人が誰なんだ?」
その言葉に一同唖然とする。そういえばケルはかなり西の方の出身だったからクロムウェル様の事も知らなかったらしい。
「確かに、私自身あんまり自己紹介してませんでしたね。まぁ1時目にそれも兼ねてしましょう。」
そうクロムウェル様が答えると、ケルは不満そうな顔をしつつも席に着く。
「私はラ・リーフです。得意魔法は木です。」
「エルーカ・サレム。得意魔法は氷」
「わ、私……ひ、ヒルク・マリーですっ……。とっ得意な魔法は……水ですっ!」
「私は、マシュカ・アテネといいます。得意な魔法は、光です。」
「……クルタ・アルタ。得意なのは無……。」
「私の名前はデリー・フェリクスです。得意魔法は闇です。」
「おらはブース・ボルクだ。得意魔法は土系だ。」
「最後君ね。」
僕が指名され、席を立つ。
「僕はモナーク・テルヤです。…………得意な魔法はありません。」
「本当にそうかな?」
「えっ……?」
僕が「得意な魔法はありません」と言うと、クロムウェル様から鋭い目で睨まれた。
━━こいつっ……!
テルヤの肩に乗るフレイクは、クロムウェルという人間に警戒心をいだく。おそらくこのクロムウェルという人間は、テルヤ達がこの学院に入れられた本当の理由を知っているのだ。
━━こいつは一体何をしに来たのだ。
フレイクはクロムウェルに対して、警戒を最大にした。
「…………君は……もしや……。」
クロムウェル様は片方の眉をあげ呟いた。
「…………あ、あの……」
「……フ……。今の事は忘れてください。得意魔法は無い。つまり魔法が使えない、ということだね」
「は、はい……」
図星をつかれて僕は黙り込んでしまう。
「さて、皆さんの自己紹介が終わりましたし、これから1時目を、としたい所ですがケル君の件も含め、とりあえず一人一人にあった魔法を見せましょう。とりあえずこれが君たちの目標にしましょう。」
そう言うとクロムウェル様は、僕達を外に連れていった。
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