他愛のない話
ある所に創造主達のうちの一つが居ました。
"それ"は生まれた場所から逃げ出し辿り着いた新しい星に世界を作りました。
泥を
世界をシトに任せようと決めていた"それ"は少しずつ増えていくそれを眺め、自らが世界を創り上げる事に喜びを感じては微笑ましく思っていました。
決して故郷と同じ轍は踏まないと"それ"は固く決意していました。
そして長い間"それ"が思うようにシト達も動いていました。
しかし"それ"の力を超えたある時からシト達は群れを作り、また次第に互いに罵り合うようになったのです。
それだけならまだしも、シト達は同胞ではないと認識した相手を壊し合う様になりました。
争いに勝ったシトの群れは自分達の子孫を増やす為に豊かさを求め海を
見守っていた"それ"はこれは駄目だ、と思い海を使いシト達のほぼ全てを洗い流してしまいました。
シトを増やし過ぎるとせっかく見つけた自らの星をあの時の様に破壊してしまうと思った"それ"は一定の数を超えたシトを天変地異を使い土に還す事を決めました。
自らの魂を多めに入れたシトにその事を伝え、託宣として周知させる事を望みました。進んで柱になった者は幸せになれるとも吹き込ませました。
気が遠くなる程、シト達は争う事もせず増え過ぎもせず"それ"の思っていた通りの世界になりました。
ある時"それ"は思いました。自らの魂を分けては壊し、また創りあげる。この永遠に終わらない一人遊びがただ虚しい、と。
自分がせっかく創り上げたと思い込んでいた世界は所詮独り言に過ぎないと気付いたのです。
嗚呼、ここは、逃げ込んだこの場所は、牢獄だったのだと思いました。
自らが選んで来た筈の此処は追放者の為に元々用意されていた孤独で暖かな檻だったのです。
そして、"それ"はそれが心地良いと思い涙を流しながら全てのシトを
柔らかな雨が全ての上に降り注いでいます。
寂しくなると土を
煩わしくなってはまた壊す
"神様"は気が遠くなるくらいずっとそうやって暮らしましたとさ。
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