柴犬まっちゃのとある日常
葉月
第1話
朝。いつも、飼い主のシュウちゃんの足音で目が覚める。
「ドンドン…ドン!」
毎日、急いでいるのかという速さで階段を降りてくる。僕は耳がいいからいつもびっくりしている。でも、しゅうちゃんの顔を見ると何故だか嬉しくなって尻尾を振ってしまう。
「ぶんぶんぶん」
たまに、しっぽが取れそうになるがまあ大丈夫だ。
シュウちゃんはいつも朝起きてから僕のことを撫でてくれる。お腹だったり、頭だったり、背中だったり。僕のお気に入りは頭だ!
撫でられるとひっくり返ってしまう。そのまま気持ちよくて寝てしまう時もあるが、今日は我慢だ…。
「うっ」
結局寝てしまい、シュウちゃんの声で目が覚めた。
「まっちゃ、ご飯だよ〜」
僕は急いで向かった。
「はっはっはっは」
ベロが垂れて口からよだれが出てるが、気にしない。目の前には黄金に輝いているご飯があるからだ!とてもいい香りがして、興奮してきた。
だが、まだ食べられない。シュウちゃんはいつもご飯の時は、お手やおかわりなどを僕に言ってくる。ご飯の為に仕方なくやっている。ただおてをするだけでシュウちゃんは
「まっちゃくんは天才」や「まっちゃくんはすごい」など言ってくるので、なんだか照れてしまう。
「よし」
の合図で僕はご飯にかぶりついた。ご飯は、一日二回なので、お腹が空いてしまう。しゅうちゃんには「ゆっくり食べなさい」と言われているが、僕はそれを無視して、三十秒くらいで食べ終わった。ご飯を食べたらのどが乾いたので、水を飲みに行った。
「ペロペロ、シュシュ」
勢い良く飲みすぎたので喉に詰まってしまった。
「えほ」
僕は、吐き出しそうになった。しゅうちゃんはそれを見て、笑っていた。
少し時間が経ち、僕がお昼寝をしていると
「散歩だよ〜」
声が聴こえた。僕は素早く玄関に行き、ハーネスとリードを付けてもらい出発した。外は蝉や車の音がして少し騒がしかった。夏の暑さで蒸し蒸ししていた。コンクリートは唸り声が聞こえるのではないかと思うくらい熱かった。早歩きしないと火傷してしまう。
「はやすぎだよまっちゃ。もうちょっと遅くして!」
後ろで、疲れている声が聞こえるが、僕はあついので早歩きでかけて行った。
十分ほど歩いていると、前からチワワが歩いてきた。可愛いなと思いながら
「ワンワン」
と僕はチワワに声をかけた。そうするとチワワは、鼻を僕の鼻に近づけて匂いを嗅いでいた。僕たち犬は、匂いを嗅ぐ事でコミュニケーションを取っている。匂いで性別や年齢が分かることもあるんだ。人間は匂いを嗅がなくても分かるとショウちゃんが前言っていたがなぜだろ?疑問に思いながらも僕はチワワと少しおしゃべりをしていた。そう返してるうちに夕方になってきた。あたりも少し暗くなって、風が毛並みをなびかせてくれる。涼しいなーと思いながらしょうちゃんといっしょに家に帰った。
「ただいま!」
ショウちゃんは家に入るなり、大きな声で言った。散歩から帰り、次は待ちに待ったお風呂だ。僕は、毎日ショウちゃんと一緒にお風呂に入っている。
「まっちゃ〜お風呂だよ。」
そう呼ばれて、僕は興奮しながらお風呂に向かった。
「ジャー。プュシュ。ゴー」
お風呂の中はいろいろな音が聞こえて何だか楽しい。シャワーの音やお湯が揺れる音。ショウちゃんが歌っている声など様々だ。
「さーて。まっちゃくん、体洗いますよー」
僕は、アワアワの手の中に飛び込んだ。
「シュワシュワシュワー」
何かが弾ける音が聞こえて体が綺麗になって行った。ショウちゃんが、僕の体を洗う時いつも耳を片方の手で押さえてくれる。耳にアワが入らないようにしてくれているようだ。それに、洗い方も優しくしてくれる。そうして、綺麗になった体で湯船に入るのだ。
「まっちゃくんはコッペパン。コッペパンはまっちゃくん…」
シュウちゃんは湯船に入るといつも変な歌を歌う。コッペパンなど言って、柴犬がコッペパンに似ているからって僕はまっちゃだ。と心の中でまた思いながらも歌に耳を、ピンとしながら聴いていた。
お風呂から上がり体を乾かしてもらった。
時間は過ぎていきもう寝る準備に入った。
「今日は一緒に寝ようか」
ショウちゃんは言った。
久しぶりに一緒に寝れるので僕は嬉しくなり階段を駆け上がりベッドになった。しょうちゃんは電気を暗くして、隣に寝てくれた。温かい手が僕の頭に乗った。
「おやすみ」
僕は目を閉じて優しさに包まれながら眠りについた。
柴犬まっちゃのとある日常 葉月 @hazy_no
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