第10話
「それでは、ここで人形使いがつくった専用ゴーレムと戦ってもらいます!あ、壊しちゃって大丈夫なので、とことん魔法ぶっ放しちゃってください!」
ついて行った先には、だだっ広い闘技場のような空間が広がっていた。なんと観客席まである。見世物でもするのだろうか。
そして、闘技場の中心には岩で出来た人形が佇んでいる。私と目が合うと、ゆっくりと動き出した。
「フォナドさんはこっちに居てくださいね?それでは、スタートぉ!」
元気な声が響き渡った途端、ゴーレムはその見た目と体躯からは予想できないスピードで突進してきた。
「…我を守れ!アイスウォール!」
前方に現れた氷の壁がゴーレムの進行を阻み、体の一部を軽く凍りつかせる。
「圧せよ!ウォータープレス!」
これは数日前、女性を助ける為に瓦礫を取り除く時にも使った魔法だ。ゴーレムが位置する地面と頭上に魔法陣が浮かび上がり、そして、問答無用で勢い良く水がゴーレムを押し潰さんと襲いかかる。
ピシ…ッ!
岩で出来た体に亀裂が入った。しかし破壊までには至らない。だが、魔法とは無詠唱で発動するよりも、術式名を唱えた方が威力が上がるらしい。それならば。
「ブリザード!」
水が地面から噴き出し、竜巻を形作る。やがてそれは氷の礫となり、ゴーレムを閉じ込め、その体に襲いかかった。バキッと破壊音が何回か続いた後、それはただの石ころへと姿を変える。
「終わりました。」
「すごいすごい!問答無用の圧勝です!いやあ、まさかここまでの術者がいるなんて、驚きですよぉ。ふむ、ランクは…Bって所ですかねぇ。」
B。思っていた以上の高評価に内心驚く。確か、ギルド冒険者はLからFの八段階に分けられていて、ランク帯によって受けられる依頼内容が変わってくると聞いた。
「最初からBになる冒険者って、中々いないんですよ?まあ、フォナドさんも最初からBでしたけど。」
「え、そうなんですか?そういえばフォナドって、いつ頃から冒険者に?」
「十歳の時だから…八年前だな。Aに上がったのは三年前。」
十歳!?そんな幼さでBランク冒険者になるって、どれだけの才能があるのだろう。きっと血のにじむ努力をしたに違いない。
「それじゃあ、シノンさんには早速武器を調達して貰わないと!ランクによって支給されるグレードが違ってくるんですけど、Bならかなり上質なものが手に入るはずです!」
そう言いながら、来た道を戻る。どうやら武器屋などもギルド内に完備しているとのこと。なんでもありだ。
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