第7話
3時間目、世界史。
授業は松崎先生が持っている。めちゃくちゃ肌が黒い。
世界史もリラックスして受けられるから良いわ、ただ油断するとすぐ睡魔に意識持ってかれるけど。ほおら今も、だんだん眠くなっ…
「外田君!」
「寝てないです!起きてます!」
「完全に悪しきものに攫われていた。黒板見ておいてくらはい。」
「はーい」
亀田と比べ、松崎先生は優しい。何ならこの数年怒っているのを見たことがないほどだ。
えーと、いまフランス革命のところやっていて…あー、眠…
ガシャーン!
突然の大きな音に、俺は完全に覚醒した。そしてクラスの生徒全員がそちらを見た。
窓ガラスが割れている。そして、その外には、男が3人立っていた。それぞれ手には銃を持っている。
「ドン…!」
その直後、先生が血を流して倒れていた。
「キャァァァ!」女子の悲鳴が教室中に響き渡った。
「騒ぐな!騒いだら撃つぞ!」その怒声に教室全体が凍りつく。
「どうした!?」騒ぎを聞きつけた他の教師たちが飛んできた。
「うるせえ!来るんじゃねえ!」 ドン!さらに先生が1人倒れてしまった。
「警察に連絡するとか止めろよ、怪しげな動きしたら生徒も教師も全員撃つからな!」
男たちが本気であることを察し、先生たちは動けなくなった。
「何が目的なんだ!?」と中年の教師が尋ねた。
「ここの生徒会長を出せ。そうすれば帰ってやる。」
「生徒を差し出すことはできない!何か他のことで手を打ってくれないか!?」
「うるせえ!死にてえのか!」
「やめなさい」
聞き覚えのある、凛とした声がした。そちらを見ると、玲が立っている。
「霧生!やめるんだ!行ったら死ぬぞ!」
「彼らの狙いは私でしょう?なら殺しはしないはずです。さあ、行きましょう。」
「ぐひひひひ、話が分かってるじゃねえか!行くぞ!」
「霧生!」
このままじゃ玲が連れていかれる!そう思い、コンマ数秒迷った後、俺は男たちの前に立ち塞がった。
「なんだ貴様は」
「彼女を連れて行くのはやめて貰えますか」
「あ!?死にてえようだな!」
「やめなさい外田君、私はいいから」
「俺が良くないから!会長を離せ!」
そう叫んで、俺は玲を掴んでいた男をなんとか薙ぎ倒し、彼女を引き剥がすことに成功した。空手で黒帯を持っているのが心強い。
しかし、ささやかな反攻もそこまでのようだった。
「死ね!」ドン!
腹への鈍い痛みで、俺は自分が撃たれたのだとわかった。そのまま前に倒れ込む。
「外田君!外田君!」
玲が俺の名前を呼ぶ声も、薄れゆく意識の中で消えていく。このまま死ぬのか、せめて最後に、玲に名前で呼んで欲しかったなあ…。
そうして、俺は意識を失った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます