第5話

「よっす咲良、眠そうだな」

「銀か…」

「何があったんだい、今ならこの銀お兄さんが150円で相談に乗ってあげるよ!」

「要らねえよ」

「ジュース1本くらい奢れや」

「嫌だね」

「チッ、ケチがよ」

そんな他愛もないやり取りをしながら今日も銀と学校に向かう。

「あ、そうだ咲良」

「どうしたいきなり」

「なんかな、ここ最近この地域で通り魔が発生しているんだと。なんでも若い女性ばかり被害に遭っているらしいぜ。」

「え、それなかなか怖いじゃん。犯人はまだ捕まってないってことか?」

「そうだな。お前も誰か大事な女子とか居るんなら気をつけとけよ〜。」

「大事な女子ねえ…」

そんなの俺にはいねえか、なんて思ったけど、いるじゃん1人。

「なんだ、まさか彼女でもできたのか?」

「いや、違うけど、まあそれはいいんだよ」

「良くねえ!吐け!お前が想ってる女子は誰だ!」

「言うわけねえだろ!」


そうこうしているうちに、学校に着いた。教室に入り、荷物を置いてから、数人単位で群れている友達の所に行く。

「おうサク、今ガチャ引いたらこいつSSR引きやがってさ!」

「朝からやるじゃねえかよ、俺にもその豪運をほんの5ミリでも分けてくれや」

「その申し出は却下させていただきます」

まず俺の事をサクと呼んだのが、林光輝だ。俺たちの群れの中で、リーダー的なポジションの奴だ。そして残りの二人がそれぞれ池田仁と田中忠彦。

池田はいい奴なんだが、いかんせん運が悪い。逆に田中は普段からラックの高い生活を送っている。

「どれどれ、便乗して10連回すか…」

「やめとけ、お前が引いても爆死するだけだ」

「うるせえ咲良、推しを想う気持ちに嘘はつけねえんだぐはあああっ!!」

「ほおら言わんこっちゃない」

「おいもうあと5分ほどで担任来るぞ、そろそろ携帯仕舞え」と林。

「ちくしょう、なんで君はそう遠くにいるんだい、メイちゃん…」

「彼女の排出率は0.166%ですので一点狙いしてもまず当たらないかと」

「うっせえ田中、お前にだけは言われたかねえや」

その時、担任が入ってきた。

「そろそろHR始めるぞ〜」

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