第4話

「失礼しま〜す…」

「挨拶する必要はないでしょう、元はあなたの部屋なんだから」

そう言って、会長はこちらのことなど気にもしない風に読書を始めた。

それを横目に見つつ、俺は明日の学校の準備をする。

…やべえ、無言だと気まずすぎるな。何か話を振るか。

「なあ、俺あんたのことなんて呼べば良い?」

「別に何でも構わないわ」

「んじゃあ玲でいいか?」

「何でも構わないと言ってるでしょう」

そう言って彼女は読書に戻る。やはりクールだ。

…まあ、そんな所とか割と嫌いじゃないけど。

「お風呂沸いたわよ〜!」下から美緒さんの声がした。「早く入っちゃって!」

「んじゃ玲、行ってくれば」

「あなたが行けばいいじゃない」

…ぬう、この人には勝てねえや。


「すみません、風呂いいですか?」

「もちろん、先頂いちゃって。あと…」美緒さんが悪い顔をしながら小声で言う。「ちゃんと避妊はするのよ?」

「げほっ!?」俺は思わずむせた。

まさかラノベの世界ではよく使われるこの表現、リアルに言われる日が来ようとは。

「まだそんな関係じゃないですから!」

「まだ?ということは、これからなるのかしら?」

「違いますっ!」

なんかこの人にも(別の意味で)勝てなさそうな雰囲気しか無いぞ、大丈夫か俺?


「風呂上がったよ、行ってきたら?」

「そうね」

そう言って彼女は部屋を出ていった。

玲の入浴シーンねえ…いやそんなの考えたら死ぬぞ、色々な意味で。

というか、これから先女子とひとつ屋根の下で暮らして行くわけだが、果たして俺の身は持つのだろうか。


当然、そんなことを考えながら眠りにつこうとしても無理なわけで。

翌朝、死ぬほど眠い状態で俺は学校に行くことになったのだ。

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