2 1000年後の夜空

「待たせたね。ありがとう。これから永遠の別れと、永遠の出会いを繰り返すんだね」

 伊邪那岐いざなぎの言葉に伊邪那美いざなみはゆっくりと頷いた。


「どんなに時を越えて生まれ変わっても、再び出会い手を取り合って、一緒に歩いて行こう」

 伊邪那岐は伊邪那美の手を取り見つめながら言った。

「これは僕の一番好きな歌の歌詞だよ。大昔に滅んでしまった国の歌。その歌の名は『君が代』 ニホンゴって言うらしい。今はもう誰も話せる人はいなくなってしまったんだけど僕はこの歌が好きだ。

 この言葉を使い、この歌を歌っていた遥か遠い昔の人たちのことを思い浮かべると、自然と涙が溢れてくる。

 きっと素敵な国、素敵な人たちだったんだろう。

 でも僕は諦めない。その国がこの歌がこの言葉が好きだから。

 僕は諦めないよ。永遠に。この夢叶うまで。幾万の星を越えて。本当の笑顔に溢れた世界が待っていると信じているから」


 そう言って伊邪那岐と伊邪那美は手を繋ぎ、数多の星が瞬く暗闇と歩みを進めて行った。

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