3 夕暮れ
遠く向こうに見えた赤い光は、その輝きを徐々に弱め、いつしか消えてしまった。
僕は、秋の訪れを知った。
それが何だったのか、今となってはわからない。
夕暮れ時の太陽だったのかもしれない。その時の僕には、何か特別な輝きに見えた。
泣きたくなるような気持ちを堪え、僕は消えゆく赤い光に向かって叫んだ。
「どこに行くのか」
「また戻ってくるのか」
正体もわからないその光に、ただただ、懐かしさと切なさを抱いた。
「あの頃に」
赤い光は消え、薄青い霧が村を覆い始めていた。
建造物は姿を消し、人も去っていった。その構築物の名を呼んだ人間達の群れは、都会の腹の中に納まっていった。
きっと人の目的など知らないのだろう。
明日はきっと晴れる。
少しずつこの村から人が消え、いずれ都会の真ん中には大きな大きな黒い穴が開く。
人は消えてしまう。
僕も消えてしまう。
光りはいつか消える。
闇が訪れる。
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