第6話 愛する子供達と肖像画の貴婦人
ランカスター家の遠戚でもある美しい寡婦エリザベス・ウッドビルは困窮していた。
戦いで最初の夫は死亡、
子供を抱え困窮の苦しさに耐えていたエリザベス・ウッドビルだったが
敵であるヨーク王家のエドワード4世が偶然、所領地ハンプシャーに来た時に
自分の所領地を返して欲しいと訴えたのであった。
それが出会いだった‥エドワード4世に
見染められて、やがてエドワードは決まりかけていたフランス王女との婚約を捨て
敵の貴族、その寡婦であるエリザベス・ウッドビルを自分の花嫁にした。
冷たい人々の視線、相次ぐ戦争‥多くの銘菓の貴族達の血が流れてゆく
そんな中、長女のエリザベス・ヨーク 二人の王子を得る
「子供達は可愛いわ」
安全な城の中、庭の中で走り廻り笑う子供達
策謀の中で、時に息を殺しながらの生活でも そんな幸せがあった
敵だったエドワードの愛、王妃という立場
肖像画の美しい貴婦人に目をやるエリザベス・ウッドビル
貴婦人はそれは艶やかで当時の流行り、帽子にベールなどで首元を巻いている。
あるいは金の宝飾品の冠をかぶっていた
「あれはアキテーヌ女公爵、アンジュ―帝国の主でもあるエレオノール姫」
肖像画の中で隣に立つのは夫ではなく、彼女の最愛の息子
十字軍の英雄リチャード獅子心王
「最初は互いに手を取り合い、夫でアンジュ―王国、プランジット朝の王
とは それは仲良く共に戦い抜きましたが‥
沢山の女に子供の婚約者の姫に手を出すなどの不埒な行いがあったので‥
妻と息子を敵に回して、戦争でしたから」吟遊詩人の少年が笑みを浮かべて言う
「最終的にはイングランドとフランスにあった所領地、広大な領地を
治めていたのは彼の母であるエレオノール姫 南欧の薔薇
優秀で学問にも優れ、必要なら剣さえ取り、戦う
それは素晴らしい伝説的な御方」
「リチャード獅子心王が姦計にはまり、異国で牢獄に繋がられた時
身代金を用意して、救出の為に多くの者達と協力して‥」
そんな言葉を重ねながら、吟遊詩人の少年シオンはリュートを指先でつま弾き
奏でる。
木々の若草色の葉が木漏れ日に染められて、微風に揺れる。
美しいエリザベス・ウッドビルの金の髪もまた艶やかに‥
「子供に深い、それは海のように深い愛情を捧げた母親でもありました
貴方も同じですね」吟遊詩人の少年シオンの言葉
「そうかしら?」「ええ‥」シオンが微笑む
ちらりと哀れな運命が待ち受けている やがてロンドン塔の王子たちを眺める
シオン
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