Roundtable * Ⅲ

 ――彼の一言によって、騎士たちの空間は一瞬で変化する。ある者は少し顔を明るくし、またある者は呆れたように肩をすくめた。

「お言葉ですが、私にはただの気休めとしか思えません。私たちは一体、どれほどの物語を紡いできたことか。しかし、私たちがいくら蝶を羽ばたかせても、絶望も破滅も全く狂いませんでした」

 ランスロットはそう言い切ると、静かに背もたれに寄り掛かった。彼の銀掛かった青い髪が、その反動で静かに動く。

「重ねるようですが、私もランスロット卿の意見に賛同します。そもそも、アーサー様のおっしゃることが真実であったとしても、この円卓に並べない以上は全くの無意味です」

 パタパタと蝶を舞い上がらせながら、ガウェインもランスロットに同意を示す。彼は弟のアグラヴェインと菓子を取り換え、生焼けのものを食べることになった。

「冷たいな、二人とも。他の者の意見は?」

「私は肯定的に捉えましたよ。つまり、面白い番狂わせが起こる可能性がある、ということですよね? どうですか、アグラヴェイン卿?」

「そうだな。私もそう思う」

 二人は長い毛先をいじりながら、愉快そうにクスクスと笑った。退屈よりも驚愕の方が、遥かに人生のスパイスになる。

「俺……じゃなくて、私も同意します! 結末が変わると言うのなら、試さない手はありませんよ!」

 パーシヴァルはかなり前向きに捉えているようで、嬉しそうに紅茶に口をつけている。横のガラハッドも、彼の様子にゆっくりと頷いた。

「パーシヴァル卿の言う通り、可能な限りの抵抗は見せるべきだと思います。この蝶から解放されることを望むなら、それ以外に道はありません」

 ガラハッドの銀色の髪に、幻の蝶が音もなく着地する。彼が小さく頭を振ると、それは空気と同化するようにすっと消えた。

「ガラハッド卿。絶望を否定することは、あなたの存在自体を消し去ってしまうことになるかもしれない。それでもいいのか?」

「ああ……。それで蝶の羽ばたきが止むのなら、私の存在など大したものではない」

 ベディヴィアの問い掛けにも、ガラハッドは揺らぐ様子を見せない。彼はランスロットを一瞥したが、すぐに真っ直ぐとアーサーの方を向いた。

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