Roundtable * Ⅱ

 しばし間があいたのち、十三席の円卓には大半の騎士が集まった。少々空席が見られるが、アーサーは構うことなく会議を始める。

「本題の前に、何か意見のある者はいるか」

 円卓の置かれた空間には、アーサーを含めた計十人の騎士がいる。彼らは皆重厚な鎧を身に着けた、名のある人物だ。

「率直に言うと、茶菓子に問題がある。何だ、これは。生焼けか?」

 出された菓子に文句を言うのは、ガウェインの弟のアグラヴェインだ。彼の黒い髪は複雑に結ばれており、赤とピンクの瞳はケイの方に向けられている。

「失礼いたしました。どうやら、生焼けのものが混じっていたようですね。ですがご安心を。おそらく、アグラヴェイン卿のものだけかと思われますので」

「そう思うなら、早急に新しいものを用意して欲しいのだが」

「何せ、人手が足りないものでして。どうしてもと言われるのなら、あなたの弟様にご協力をお願いすることになりますが……」

 この二人、仲が良いのか悪いのか、会話のテンポが全く一緒だ。その内に呆れた周りの騎士たちが、強引に会話を終了させた。

「アグラヴェイン卿は文句が言いたいだけらしいので、さっさと本題に入ってください」

 そう口を挟んだモードレッドの顔には、「こいつらの話はどうでもいい」と書かれている。もったいぶっているアーサーをも牽制しているのかもしれない。

「そのようだな。ならば本題に入ろう」

 アーサーは怪しげに笑うと、声高に議題を宣言した。

「知っての通り、我々は蝶の羽ばたきの中に閉じ込められている。いくら選択肢が現れようと、我々の辿る運命はいつも一つ。故に、我々はその羽ばたきを嘲笑い、そしてそうすることでしか救われなかった。

 しかし喜べ! 今回、新たに蝶の羽ばたきを嘲笑う者が現れた!」

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