Knights of the Round Table
Roundtable * Ⅰ
円卓の上で、幻想的な蝶が舞う。やがてその蝶は荘厳な椅子の上に止まり、騎士の形を取り戻した。
「ケイはどこにいる」
彼の名前はアーサー。流れる金髪に、美しい緑眼。立派な鎧に身を包んだ彼は、チラリと脇を一瞥した。……が、蝶と共に現れたのは、別の円卓の騎士だった。
「アーサー様、ケイ卿は例のごとく……」
「はぁ……。またか」
アーサーに言葉を返すのは、ベディヴィアと言う名の騎士だ。彼が水色の瞳を上げると、別の椅子に蝶の群れが押し寄せた。
「アーサー様! 失礼をお許しください!」
その群れが晴れるや否や、怒った顔のパーシヴァルがドカッと椅子に座った。その横には、重そうに頭を振るケイの姿が。その金色の髪には、適当に包帯が巻かれている。
「見たところ、手痛くやられたようだな。これに懲りたら、少々口を慎め」
「手痛くなど、とんだご冗談を。この程度、遊戯の一環に過ぎません」
ケイの口調は丁寧だが、裏のある様子は否めない。それがパーシヴァルの怒りを買ったのは、想像に容易かった。
「それより、一体何の御用で? できれば安静をいただきたいのですが」
「おまえの自業自得に、いちいち安静などくれてやるものか。今から会議を始めるから、茶を淹れてこい」
「はぁ、そうですか。これまた随分と緊急ですね」
ケイは痛そうに首をもたげたが、アーサーが譲る気がないのを見て、渋々蝶を散らしてその場を去っていった。その蝶の羽ばたきと入れ違うように、別の騎士たちが円卓を囲む。
「ただ今戻りました。現時点では、異常ありません」
「ガウェイン。戻ってきたところ悪いが、今から会議をする」
「会議ですか……。議題は何でしょう?」
ガウェインの反応に対し、アーサーは少し口角を上げた。この言葉こそ、彼が期待していた問いだったからだ。
「『蝶の羽ばたきについて』だ」
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