Butterfly's route * Percival

 翌日。三限の講義が終わった後、俺は図書館に足を運ぶことになった。華菜が勝手に読んでいた本を返して、ついでに本棚の間をウロウロする。

 昔から、読書は趣味で続けている。特に予定がなくても、こうやって本の背表紙を見てるだけで、なんか落ち着くんだよなぁ……。


「――良かったよ、マジで。なくしたかと思って、心臓止まりそうになっちゃった」

「全く、本当に不用心なんだから。しっかりしてもらわないと、困るんだけど」

 ……ん? 後ろの本棚から、小声の話し声が聞こえる。って、この声、片方は笹木じゃないか? 三限の講義も同じだったが、その後の行き先も同じだったなんてな。

「それで? 中身は無事なんでしょうね? 誰かに見られたりは?」

「うーん……。実は、ちょーっと怪しいやつがいたんだよね。でも、ちゃんと始末しといたから。本部にも連絡したし、後片づけも完璧だよ」

 始末? 後片づけ? 笹木のやつ、一体何の話をしてるんだか……。

「あ、そう。まぁいいわ。少々想定外の事態もあったみたいだけど、あなたはよく動いてくれた。この後のことは私に任せて」

「オッケーオッケー。じゃあ私、用事あるから」

 笹木は俺に気づかないまま、さっさと本棚の間を縫っていった。しばらくすると、笹木と話していたもう一人も出てくる。

「……あれ? もしかして、篠田君?」

「あ、うん。そうだけど……」

 黒髪ロングの女子は、俺を見るなり驚いたような顔をした。って、あれ? この人……。

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