Butterfly's route * Kay

「ごちそうさま」

「あら? 悠、もう食べ終わったの?」

「ちょっと、レポートがあるからさ」

 母親に食べ終わった食器を渡した俺は、スマホをいじりながらニヤニヤしている華菜を横目に、さっさとリビングを後にした。……だが、向かう先は自分の部屋じゃない。信じられないような紙切れを落としていった、華菜の部屋だ。

「……」

 拾った紙切れには、「お兄ちゃん大好き」の文字がびっしりと書かれていた。これ、一体どういう意味なんだ……? 俺の考えすぎであることを祈りたいが、まさか実の兄を恋愛対象に入れてるってことじゃないよな……?


「し、失礼しまーす……」

 ……確認のため、無断で華菜の部屋に入ってみる。ごちゃごちゃしているが、至って普通の内装だ。まぁ、そりゃそうだよな。なんか無駄に安心した。

「てかあいつ、ちゃんと掃除しろよな……」

 漫画やゲーム機が乱雑に置かれ、教科書やノートなんかも適当に放られている。これは、さすがに汚いの部類に入ると思うが……。とりあえず、教科書ぐらいは机の上に置いとくか……。


「……ん?」

 教科書を机の上にあげたとき、ふと半開きの引き出しに目がいった。普段は鍵が掛かっているみたいだが、今は偶然開いている――。

 ――って、おい!! これ、俺の下着じゃねぇか!! しかも、俺がなくしたと思ってたハンカチやら箸やらまで!!

「嘘だろ……。何だよ、これ……」

 奥の方には、「お兄ちゃん観察日記」って言う名のノートと、よく分からない薬瓶がいくつか。これは一体、何なんだ……?

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