Butterfly's route * Kay
「ごちそうさま」
「あら? 悠、もう食べ終わったの?」
「ちょっと、レポートがあるからさ」
母親に食べ終わった食器を渡した俺は、スマホをいじりながらニヤニヤしている華菜を横目に、さっさとリビングを後にした。……だが、向かう先は自分の部屋じゃない。信じられないような紙切れを落としていった、華菜の部屋だ。
「……」
拾った紙切れには、「お兄ちゃん大好き」の文字がびっしりと書かれていた。これ、一体どういう意味なんだ……? 俺の考えすぎであることを祈りたいが、まさか実の兄を恋愛対象に入れてるってことじゃないよな……?
「し、失礼しまーす……」
……確認のため、無断で華菜の部屋に入ってみる。ごちゃごちゃしているが、至って普通の内装だ。まぁ、そりゃそうだよな。なんか無駄に安心した。
「てかあいつ、ちゃんと掃除しろよな……」
漫画やゲーム機が乱雑に置かれ、教科書やノートなんかも適当に放られている。これは、さすがに汚いの部類に入ると思うが……。とりあえず、教科書ぐらいは机の上に置いとくか……。
「……ん?」
教科書を机の上にあげたとき、ふと半開きの引き出しに目がいった。普段は鍵が掛かっているみたいだが、今は偶然開いている――。
――って、おい!! これ、俺の下着じゃねぇか!! しかも、俺がなくしたと思ってたハンカチやら箸やらまで!!
「嘘だろ……。何だよ、これ……」
奥の方には、「お兄ちゃん観察日記」って言う名のノートと、よく分からない薬瓶がいくつか。これは一体、何なんだ……?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます