第27話 舌を吸う
『立嶋の元カノだけには絶対に会うなよ』と半ば遺言めいた言い方で、リキは僕に強く説き伏せた。リキはここ最近アルバイトが忙しいのか、若白髪が増えた様子で、めっきり老け込んだ印象があった。立嶋とリキは僕と同じゼミで、同じテニスサークルにいて、中でも立嶋はイケメンであり、成績も優秀でテニスもかなり上手な壮健な男であったにも関わらず、消息不明になり、ご家族が休学届を出してきた。立嶋の元カノであり、一学年年上で、同じ硬式テニスサークルにいた
テニスサークルの後輩の沙也加ちゃんがYONEXのテニスラケットのグリップテープを巻きながら、そう言えば最近、見ないですよねと呟いた。『…四方さん?』そう、その人、と沙也加ちゃんは頷いた。『まあ、でも、あのひとって、基本、今って、就活忙しいんじゃないの?』ふとリキの言葉を思い出し、僕は背中に変な汗をかきながら、沙也加ちゃんにしどろもどろに説明をした。『あ、そう言えばそうでしたね。私、あの手のタイプの美人って苦手です…顔だけじゃなくて、どことなく、ちょっと
完
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