第4話本気馬締(まじまじめ)とネコ型ロボット
イジメはすぐに止めさせる。
募金をしていれば、有り金すべてを投入する。
年寄りにはマッハのスピードで席を譲る。
生き物がいれば必ず保護をする(たとえゴキブリでも)
一日一回必ず一善 一善しないうちは寝ない。
ウソは絶対につかない(もしついたら舌を切る覚悟)
神様は、そんな馬締をいたく気に入って、万能型ネコ型ロボットを馬締のもとに送り込んだ。
「僕は、君が必要としているもの全てを持っているんだ。欲しいものがあれば僕に何でも言ってね」
ネコ型ロボットは、馬締に胸を張って自信満々に言い切った。
「永久的な世界平和」
馬締はそう呟いた。
「う~ん…… そういうのは僕も神様も無理なんだな~ 個人的に何か希望はニャイのかな~?」
「別に……」
「沢尻エリカかよっ」
ネコ型ロボットが勢いよくツッコミを入れても、馬締は微動だにしなかった。
「た……例えば、どっかに旅行とか行きたくない? はいっどこでもドア~」
ネコ型ロボットは、大きな扉を馬締の前に差し出した。
馬締は積読していた綾辻行人の「Another2001」の本の角で、ネコ型ロボットの頭にめり込むほどの強さで叩きこんだ。
「ギニャアアアアア」
ネコ型ロボットはあまりの衝撃に悶絶していた。
「ダメだよ。そんなの使ったら、鉄道会社にタクシー会社、航空会社に勤めている人たちの仕事を奪うことになってしまうよ」
「じゃあ、空を飛んでみる?」
ネコ型ロボットは、涙目で、タケコプターを取り出した。
馬締は、フォークの先っぽで、ザクザクとネコ型ロボットの頭を何度も突き刺した。
「みぎゃあああああああ」
ネコ型ロボットはまたも悶絶した。
「ダメだよ。まずその乗り物の特許を取らないと、規制の壁で使用できないよ。きみはタケコプター犯罪、タケコプター便、タケコプター保険、こういうのに対応する知識を持っているのかい?」
「うぐぐ……痛いところ突くなあ……じゃあこれ、君の受験用にプレゼント、暗記パンに翻訳コンニャク」
馬締は、押入れから、高圧蒸気のスチームクリーナーを取り出して、ネコ型ロボットに吹きかけた。
「ギニャアアアアアアアア 熱い、熱い、僕が溶けちゃううううううう」
ネコ型ロボットがただれて、中から機械がうっすらと見えた。
「ダメだよ。そんな不正、それを使うことで、東進ハイスクールや、家庭教師のトライの仕事が無くなってしまうだろ」
ネコ型ロボットはすっかり気落ちしていたが、神様から送り込まれた期待に応えるために、新しい道具を取り出した。
「これならどう?タイムマシン~ 夢の発明だよ。過去も未来も自由自在に行き来できるすぐれもの」
馬締は、タコ焼き用の千枚通しで、ネコ型ロボットの頭を貫いた。
「ぴぎゃああああああ あああああああ あああ…… ぼく死んだかも……」
ネコ型ロボットは頭に千枚通しを突き刺されたまま倒れ込んだ。
「ダメだよ。それで競馬やらロト7やらで、一攫千金を目論む奴らや、勝手に過去を修正し、変な未来になる可能性だって十分ある」
ネコ型ロボットは
「じゃあ、これ、あらかじめ日記~ 未来の日時の日記を書き入れると、必ずその通りになるのです」
馬締は、以前「まんだらけ」で購入したシティーハンターの槇村香使用の100tハンマーで力いっぱいネコ型ロボットの頭を砕くように叩いた。
「ふごおおおお おおお…… ぼく壊れた」
「それはダメだよ。すでにデスノートとして漫画で世に出てるよ。大場つぐみさんと、小畑健さんに許可を取らないとダメ、ただのパクリ」
「うぐぐ……こっちのが先のような気がするんだけどなあ……じゃ、これはどう?ウソ800《エイトオーオー》この液体を飲むと、喋ったことが全てウソになるんだ。例えば、晴れだと言えば雨が降り、雨だと言えば、カラっと晴れる」
馬締は、ネコ型ロボットの両足をつかんで、股間に電気あんまを仕掛けた。
「ふぎゃああああああアアアアアア あああ あ ちょい気持ち良い……」
ネコ型ロボットは悶絶しながら昇天していた。
「ダメだよ。僕は生まれてから一度もウソをついたことがないんだ。そもそも人は何故ウソをつくのだろうか?地球上の生物の中でもウソをつくのは人だけなんだよ。ウソは企業に数十億ドルの損失を生み、人間関係を台無しにし、自分の大切なものを失い、命を奪う危険性まである。ウソは悪意以外何も生み出さないし、メリットもないあるのはリスク大だけ。そこまでしてウソをつくのは何故だ?」
「いや、知らないよ。それ僕じゃなくて神様に言ってよ。そもそも僕はキミだけに与えられた高性能ロボットなんだよ。ザクとは違うのよ、ザクとは!僕は高性能過ぎて、寒さも暑さも感じるし、お腹も空くしどら焼きも食べる。下手くそだけど、麻雀も将棋も囲碁もオセロもできる。ジオングと違って足もあるのよ」
「足なんて飾りですよ。偉い人にはそれも分からないんですね。それに寒さや暑さを感じてエアコン使われるくらいなら、どら焼きで食費がかさむくらいなら僕はザクのが良いです」
「うぐぐぐううう ぐうの音も出ねえぜ……じゃあ、これはどうだ!最終兵器の道具、これが気に入らなければ、僕は神のもとへ帰る」
ネコ型ロボットは勿体つけるように前置きしてから、ポケットを探りだした。
「どくさいスイッチ~!」
ネコ型ロボットはファミレスによくある呼び出しボタンのようなものを取り出した。
「聞いて驚き
「それ!イイネ!」
馬締は、ネコ型ロボットに親指を突き出してウインクした。
「おお!ついにお気に入りが! 使うか!使うのんか~?」
「うん」
馬締は、ネコ型ロボットからどくさいスイッチを奪うと、ボタンを押した。
「このネコ型ロボットを作って送ってきた奴、消えてしまえ! いなくなってしまえ
その瞬間、神と目の前のネコ型ロボットは消えた。
ホッとしたのも束の間、馬締から影が無くなり、自分の身体が薄くなっていることに気がついた。
「うあああああ、こんな、自分も消えるなんて、神さま助けて~ あああああああ、いっ嫌だ! 僕は本当は生きているうちに悪いことをいっぱいしたかったんだ!こんな…… こんな殺生な…… 嫌だああああああああああああああああああ……」
プツン……
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