夜明け前。

 カーテンを開け、窓を開け。外の空気を思いっきり吸い込む。

 とても心地いい風が吹いていた。

「そろそろ起こしに行こう」

 コンコン、とノックをする。

「……開いてる」

 ガチャっと扉を開けると眠たそうにしているキミが居た。

「朝っぱらから何……?」

「旅に出る」

 は?と目を思いっきり開くキミを見て笑いながら。

「これ、今日の服だから」

「どう言う……って言っても無駄か」

 キミは諦め、服を受け取る。

「それじゃ、準備が終わったら教えて」

 部屋を後にしのんびりと珈琲を飲む。


「準備できたけど……なんでこんな服着なきゃいけないの?」

 キミは苦笑しながら僕の元に来る。

「そりゃ、まぁ理由があるから」

「どんな理由よ」

 それはまだ秘密、と口に人差し指を指す。

「……はぁ、わかった。聞かないで置いてあげるけど期待はずれだったらどうなるかはわかってるよね」

「大丈夫、期待に添えると約束するよ」

 根拠がない、と言いながらもキミは少しそわそわとしてる。

「じゃあ、そろそろ出ようか」

「はいはい」

 扉を開ける。

 ――日の出が僕達を包み込む。

「さぁ、行こうか。大切な場所へ」

「――、なるほどね」

 日の出と共に歩き出す二人。


 これは、大切な人を想う二人と一人のお話。

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描かれし少女の夢と小雪に咲く花 るなち @L1n4r1A

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